[パロアルト(米カリフォルニア州) 12日 ロイター] - 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン理事は12日、物価安定と最大雇用の2つの責務に向け必要なことを「軌道に乗って」行っているとの見解を示した。
FRBは過去1年2カ月、政策金利を5%ポイント引き上げ、インフレ率は4.2%に鈍化、失業率は3.4%と1969年以来の低水準となっている。
フーバー研究所で開催された金融政策会議で同理事は、インフレはまだ高すぎ、現在のディスインフレの進展は不均一で望むまれるより遅いが、この状況から判断して「必要なこと、期待されていることはやっている」と指摘。その上でこれが「軌道に乗っている」という言葉上の定義だと述べた。
バイデン米大統領は12日のうちに、ジェファーソン氏をFRB副議長に指名した。
利上げを決定した今月の連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル議長は、追加利上げを一時停止する可能性を示した。ジェファーソン氏は講演原稿で、これに反対する考えは示さなかった。
ジェファーソン理事は、好調だった個人消費は減速し信用状況はタイト化するとの見通しを示した。3月以降に相次いだ地方銀行の破綻による信用ショックは軽微にとどまるだろうが「判断するには時期尚早」とし、下振れへの影響は予想以上に大きくなる可能性があると述べた。
一方、「金融政策は経済やインフレに長くさまざまな遅行を伴って影響するため、急速な引き締めの効果が完全に表れるのはまだ先」との見方を示した。
また2つの責務のバランスを取っているとし、「この観点からも軌道に乗っていると考えている」と述べた。
講演後の質疑応答では、インフレ引き下げの重要性を強調した。米国では仕事上の地位が人生を大きく左右するため「労働市場の推移は非常に気になる」とした上で、インフレは深刻な社会問題でこれを抑制することが重要だと語った。