[バンコク 2日 ロイター] - タイ中央銀行は2日、主要政策金利の翌日物レポレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ2.25%とした。利上げは7会合連続。
景気の拡大が続く中、インフレ圧力が根強いことが背景。
中銀は政策金利が「中立」水準に近づいていると述べた。アナリストの間では今回で利上げが打ち止めになる可能性があるとの見方が多い。
利上げは全会一致で決定。ロイター調査ではエコノミスト22人中18人が25bpの利上げを予想していた。
中銀は声明でコアインフレ率は小幅に低下しているが、過去よりも高い水準で安定する見通しだと指摘。総合インフレ率は目標レンジ内で安定するとの見方を示した。
観光や個人消費などを背景に景気の拡大が続くとも予想。ただ、輸出低迷と国内政局の不透明感に起因するリスクが高まっているとも指摘した。
中銀は声明で「景気拡大の継続とスラック(需給の緩み)の縮小という環境下では、金融政策を通じて長期の低金利環境で生じ得る金融不均衡の高まりを未然に防ぐことで、インフレ率を持続的に目標レンジ内に維持し、マクロ・金融の長期安定を促す必要がある」と表明。
「利上げは非常に不透明な先行きを踏まえた政策発動余地の温存にも寄与する」と述べた。
中銀は昨年8月以降、計175bpの利上げを実施している。
中銀のピティ総裁補は会見で、次の政策決定は利上げか据え置きになる可能性があると指摘。経済見通し次第だとし、今年の国内経済が予想をやや下回る可能性があると述べた。
キャピタル・エコノミクスは「今回で引き締めは終了したとみている。インフレ率は目標を大幅に下回っており、景気回復への逆風も強まっている。年内は据え置きを予想する」と指摘。
「先進国が予想通り年後半に景気後退(リセッション)に陥れば、輸出が低迷する可能性が高い。選挙から2カ月経っても新首相が選出されておらず、不透明な政局が見通しの大きな下振れリスクになる」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスも「当面、利上げは休止されるだろう。景気回復がさらにもたついて金融緩和が必要になった場合、今回の利上げで政策発動余地が増える」と述べた。
ロイター調査では、17人中13人が中銀は政策金利を少なくとも2024年半ばまで2.25%に据え置くと回答した。2人は24年半ばまでに1回の利下げを予想、残る2人は政策金利が2.50%でピークに達すると見込んだ。
タイの6月の総合インフレ率は前年比0.23%と、中銀の目標レンジである1─3%を下回ったが、セタプット総裁は、景気の拡大に伴い、今後、目標レンジ内に戻るとの見通しを示している。
6月のコアインフレ率は1.32%。経済活動の拡大とコスト転嫁を背景に相対的に高止まりしている。