[2日 ロイター] -
<為替> 経済指標で米労働市場の力強さが改めて示されたことでドルが上昇した。格付け会社フィッチ・レーティングスによる前日の米債の格下げによる影響は軽微だった。
ADP全米雇用報告によると、7月の民間部門雇用者数は32万4000人増となり、ロイターがまとめたエコノミスト予想の18万9000人増を上回った。労働市場が堅調さを維持していることで景気後退(リセッション)が回避される可能性がある。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(ボストン)のチーフ・インベストメント・ストラテジスト、マイケル・アローン氏は「米経済指標は引き続き好調で、連邦準備理事会(FRB)は利上げを継続するとの観測が出ている」とし、「外国との金利差は拡大し続けると予想され、若干の安全資産への資金逃避と相まってドルが上昇している」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.57%上昇し、3週間ぶりの高値を更新。7月18日に付けた15カ月ぶりの安値から3.0%上昇した。
円は対ドルで0.07%高の143.24円。日銀の内田真一副総裁は2日、10年国債を対象とする連続指し値オペの実施金利を1%に引き上げたことについて、1%は「念のための上限キャップ」であり、1%に向かって金利が上昇していくことを想定しているわけではないと述べ、このほどの決定は大規模な景気刺激策をより持続可能なものにするためのもので、超低金利からの脱却の序章ではないとの考えを示した。
ユーロは0.37%安の1.0941ドル。
英ポンドは0.45%安の1.272ドル。イングランド銀行(英中央銀行)は3日の金融政策委員会で利上げを決定すると見込まれているが、利上げ幅について0.25%ポイントと0.50%ポイントとの間で予想はなお割れている。
豪ドルは1%安の0.665米ドル。一時は0.657米ドルと、6月以来の安値を付けた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 長期債利回りが上昇した。好調な民間雇用統計と米政府の四半期定例入札計画発表を受けた。
10年債利回りは、2.9ベーシスポイント(bp)上昇し4.075%となった。午前中には一時4.122%と、11月以来の高水準を記録した。
利回り上昇の背景には、フィッチ・レーティングスによる米債格付けの引き下げもある。 30年債利回りは一時4.206%と11月9日以来の高水準を記録。終盤は6.5bp上昇の4.168%となった。 ジャニー・モントゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチーフ債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は、四半期定例入札計画により長期ゾーンの国債が最も顕著に影響を受けたと指摘した。
2日発表のADP全米雇用報告によると、7月の民間部門雇用者数は32万4000人増となり、ロイターがまとめたエコノミスト予想の18万9000人増を上回った。一方、在職者の賃金は前年比6.2%上昇と、伸びは6月の6.4%から鈍化した。 このデータは投資家にとって安心材料となったが、米連邦準備理事会(FRB)が年内利上げを一時停止するか、それとももう1回実施するかを決定付けるものではなかった。
短期債の利回りは小幅に低下した。2年物国債利回りは4.933%と、ほぼ横ばいだった。
2・10年債の利回り格差はマイナス81bpとなった。
米財務省は2日、四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)における米債の発行規模を第3・四半期に「漸増的に」引き上げ、その後も引き続き増加させると発表した。
これに先立ち、フィッチ・レーティングスは1日、米国の外貨建て長期債格付けを最上位の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。
フィッチのシニアディレクター、リチャード・フランシス氏は2日、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃が米国のガバナンス悪化と二極化を反映しているとし、財政面に対する懸念とともに米債格下げの決定要因になったと述べた。
これに対しイエレン米財務長官は2日、低水準の失業率やインフレ鈍化、継続的な成長や力強い技術革新など、強靭な米経済情勢が考慮されておらず、「全く正当な根拠がない」と改めて異論を唱えた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 下落して取引を終えた。S&P総合500種とナスダック総合は続落。フィッチによる米国債格下げを受け利益確定売りが先行した。
フィッチは1日、米国の外貨建て長期債格付けを最上位の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。これを嫌気した売りでS&P500種は1%超下げ、4月25日以来の大幅な下落率を記録。下げが1%を超えたのも5月23日以来だった。
ただ、複数の証券大手は米国債格下げによる金融市場への影響が長引く可能性は低いと指摘。S&Pが米国債を格下げした2011年に比べて米経済が強いことを理由に挙げた。
S&P500とナスダックは7月まで5カ月続けて上昇したため、季節的に投資家の活動が鈍る8月に入ってフィッチが米国債を格下げしたことが相場の小休止を促した。
米10年債利回りがほぼ9カ月ぶりの高水準を付けたことを受け、金利の動きに敏感なテスラ、エヌビディア、メタ、アップルなどの大型グロース(成長)株が急落。
S&P500の主要11セクターのうち情報技術は2.6%安と下落率トップとなった。
ドラッグストアチェーン最大手CVSヘルスは予想を上回る四半期利益を好感し、3.3%上昇。産業用ソフトウエアのエマソンは通期利益見通しの引き上げを材料に3.8%高となった。
半導体大手アドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)は7%下落。人工知能(AI)向け半導体を強化する計画について野心的すぎるとの懸念が出た。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 堅調な米雇用関連指標の発表を受けて売りが優勢となり、小幅続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比3.80ドル(0.19%)安の1オンス=1975.00ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 対ユーロでのドル高を背景に売られ、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比1.88ドル(2.31%)安の1バレル=79.49ドルだった。10月物は1.79ドル安の79.13ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 143.32/143.33
始値 142.73
高値 143.47
安値 142.68
ユーロ/ドル NY終値 1.0936/1.0940
始値 1.0977
高値 1.0987
安値 1.0919
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 90*17.00 4.1838%
前営業日終値 91*26.00 4.1030%
10年債(指標銘柄) 17時05分 94*09.00 4.0896%
前営業日終値 94*19.50 4.0470%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.00 4.2441%
前営業日終値 99*14.75 4.2460%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.88 4.8851%
前営業日終値 99*22.25 4.9120%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35282.52 -348.16 -0.98
前営業日終値 35630.68
ナスダック総合 13973.45 -310.47 -2.17
前営業日終値 14283.91
S&P総合500種 4513.39 -63.34 -1.38
前営業日終値 4576.73
COMEX金 12月限 1975.0 ‐3.8
前営業日終値 1978.8
COMEX銀 9月限 2387.2 ‐45.4
前営業日終値 2432.6
北海ブレント 10月限 83.20 ‐1.71
前営業日終値 84.91
米WTI先物 9月限 79.49 ‐1.88
前営業日終値 81.37
CRB商品指数 276.5017 ‐4.3471
前営業日終値 280.8488