[上海/シンガポール 17日 ロイター] - 中国の債券市場で、地方政府のインフラ投資会社である融資平台(LGFV)が発行する社債の利回りが低下している。LGFVの投資対象である中国の不動産業界は債務危機が深まっているが、中央政府が地方政府の債務問題に取り組む方針を示したことから、投資家は暗黙の政府保証を見込んでLGFVの社債に殺到した。
調査会社ディーリング・マトリックスのデータによると、8月に発行されたLGFV債の利回りは平均約3.9%と、年初来で最低となった。
また中国中央国債登記結算(CCDC)のプラットフォーム、チャイナボンドのデータによると、1年物でAA格付けのLGFV債は同年限の国債との利回り差が173ベーシスポイント(bp)前後と、年初の353bpから縮小して2020年終盤以来で最も小幅となった。利回り差の縮小は格付けの低いLGFV債で特に顕著だ。
LGFVは融資などを合わせた債務総額が累計9兆ドルに上り、国内金融システム全体を揺るがしかねないリスクをはらんでいる。しかし中国共産党が7月の中央政治局会議で、地方の債務リスクを解決するため「包括的な」対策を取ると確約したことから、投資家の間でLGFV債への信頼感が高まった。