Xie Yu Davide Barbuscia
[香港/ニューヨーク 7日 ロイター] - 中国不動産最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は、猶予期限直前の5日にドル建て債の利息2250万ドルを支払い、辛くも債務不履行(デフォルト)を免れた。しかし債権者は碧桂園が流動性支援を受けることなく年内に期限を迎える債務の返済が可能な状態なのか、なお疑問視している。
碧桂園の財務状況が不安定で中国の不動産セクターの見通しも厳しいままであることから、海外債権者は碧桂園がすぐに流動性支援を受けるか、さもなければ債務整理を行うことを期待している。
不動産セクターはかつて中国経済を支える柱だったが、かつてない流動性危機に見舞われ、2021年以降は経済にとって最大の足かせに転じた。
碧桂園が債務不履行の瀬戸際から生還したのは4日間で2度目。
コロンビア・スレッドニードルのシニア通貨・金利アナリスト兼新興市場債券リサーチ責任者、エドワード・アルフサイニ氏は、「過去をひも解くと、外国の債権者は中国発の債務再編であまり良い目を見ていない」と述べた。
ただ「碧桂園が今回利息を支払ったということは、この段階で同社の経営陣レベル、そしておそらくは経営陣と政府の間で何らかの協議が行われたことを示しており、何らかの形による流動性支援が行われる可能性が高まっていると読み取れる」と指摘。「そうでなければ、今の状況でこの債務の返済を行う意味はない」と述べた。
コロンビア・スレッドニードルは碧桂園のドル建て債を一部保有している。
碧桂園はまだ債務不履行を起こしていない数少ない中国不動産開発業者のひとつ。中間財務諸表によると、売上高が急落して手元資金が減り、流動性圧力に直面している。
上半期の損益は489億元(66億8000万ドル)の損失で、赤字額は過去最大。自己資本に対する負債の割合を示す純ギアリング比率は、2022年末の40%から今年上半期には50.1%に上昇した。向こう12カ月以内に期限を迎える債務は約148億ドルで、キャッシュの水準は約138億ドル。負債総額は約1910億ドルで、2022年末と変わらない。
碧桂園は今月少なくとも5回の利払いを控えており、そのうち17日の1500万ドル、27日の4000万ドルのドル建て債利払いは比較的規模が大きい。2件の支払いにはいずれも30日間の猶予期間が設定されている。
碧桂園の債券を一部保有している米資産運用会社のポートフォリオマネージャーは、「碧桂園は今後迎える利息の支払いを延期した上で、猶予期間を利用して債務再編計画を立て、投資家にそれを受け入れてもらおうとするのではないか」と語った。
物件販売の回復は遅いと見込まれるため碧桂園のキャッシュフローは引き続き逼迫しており、「意味のある」流動性支援がなければぎりぎりの綱渡りを強いられそうだという。
碧桂園はコメントを控えた。
<経営の逼迫度>
中国当局がこの数週間に低迷する不動産セクターへの支援策を相次いで打ち出したことで、投資家は碧桂園など不動産開発業者の短期の販売見通しを注視している。
支援策には既存の住宅ローン金利の引き下げ、大都市での一戸建て初回購入に対する優遇ローンなどが含まれる。しかしアナリストによると、不動産セクターの安定や消費者心理の改善を図り、本格的な回復の種をまくためには追加的な措置が必要だという。
当局の支援策にもかかわらず中国の新築住宅価格が8月に4カ月連続で下落したことが、1日発表の民間調査で明らかになった。
ANZのシニア・クレジット・ストラテジスト、ティン・メン氏は、「碧桂園はおそらく猶予期間をフルに活用するだろう。オンショアでもオフショアでも、今後の支払いに十分なキャッシュを生み出すのはまだ難しいようだ」と述べた。
英資産運用会社リーガル&ジェネラル・インベストメント・マネジメントの投資戦略・調査責任者、ベンジャミン・ベネット氏は、碧桂園が利息の支払いを続けるなら「大きな驚き」だと述べた。「以前の債務不履行企業と同じように不確実性が長引かないよう、この数日で稼いだ時間を使い適切な債務再建計画を練っていることを望んでいる」と話した。