[東京 23日 ロイター] - T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は23日、2023年度下期一般勘定資産運用計画で、超長期債を中心に国内債券の残高を増加させる方針を示した。一方、ヘッジコストの上昇に伴い、外国債券は国債を中心に売却を進め、残高は減少を見込む。また、為替リスクの高まりからオープン外債には慎重な姿勢で臨む。
執行役員・運用企画部長の清友美貴氏が23日、ロイターとのインタビューで述べた。
<20年債を中心に国内債を増加>
国内債券は積み増しを継続し、超長期債や事業債などのクレジット資産の組み入れを進めていく。上期の残高は横ばい。日銀の政策修正への警戒感から一部残高を落としたものの、7月末の日銀会合での長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)運用柔軟化後は超長期債を中心に買い進めた。
新発10年債利回りの想定レンジは0.5―1.0%で、年度末は0.85%を予想する。足元の新発10年債利回りは0.86%と13年7月以来の高水準を更新しているものの、海外金利の上昇につられている面が大きいとし、「仮に日銀がYCCを撤廃したとしても、円金利が大幅に上昇するとはみていない」として、海外金利の低下とともに、円金利の上昇は落ち着いてくると話した。
清友氏は早ければ3月もしくは4月会合で日銀がマイナス金利解除に踏み切ると予想。マイナス金利解除に伴い金利が大きく変動する可能性があることから、YCC撤廃については6月会合を想定する。
金利上昇圧力がかかりやすい地合いが続くものの、「(金利水準の目線が合えば)ある程度買う」と指摘。資産と負債のデュレーションのマッチングが出来ていることから、「30年債よりも20年債への投資が中心になる」とみる。また、10年以下については、国債よりもスプレッドが乗る事業債を中心に投資していく。
<ヘッジ外債の売却継続>
外国債券については、主に海外国債を売却していく一方で、欧米のクレジット債は積み増していくとし、全体で残高は減少する見通し。上期は残高は減少した。ただ昨年と比較すると残高を落とすペースは緩やかとなった。
下期の米10年債利回りの想定レンジは3.0%ー5.0%で、年度末は4.0%を予想。米国の政策金利の引き上げが徐々に米経済に波及していくとし、米長期金利は低下していくとみる。これに伴い円高が進むとし、下期のドル/円の想定レンジは125─155円で、年度末は140円と予想する。
清友氏は為替をヘッジしないオープン外債は選択肢としてはあるとする一方、「今後値幅を伴って円高に振れる可能性など為替リスクが生じる」とし、慎重な姿勢を示す。一方で、数年間はネガティブキャリーとなるものの、米国の利下げが視野に入れば、ヘッジコストが徐々に縮小していくことから、ヘッジ外債の選択肢もでてくるとみる。株価の急落リスクに備えて残高をゼロにはせずに、バランスを考えて保有していく。
外貨エクスポージャーは横ばいを見込むが、市況動向に応じて機動的に対応する。
<インフレ高止まりと米景気のハードランディングに警戒>
株式は国内、海外ともに残高は減少する見通し。利益確定売りを進めていく。上期は国内株は残高を減らした一方、外国株は横ばいにとどまった。
日経平均株価の想定レンジは2万5000─3万6000円で、年度末は3万3000円と予想。米景気については現状ではソフトランディングを想定していることから、米株価は底堅く推移するとみており、日経平均株価についても底堅さを維持するとみる。
オルタナティブは引き続き増やす見通しで、収益機会の多様化を目的に中長期的に残高を拡大していく。貸付金は上期は横ばいとなった。ただ、下期は減少する見通しで、金利水準を踏まえて選別していくという。不動産は横ばいの見通し。
清友氏は、リスクシナリオとして米経済がハードランディングとなった場合、株安・円高・金利低下が急速に進むことや、地政学リスクを背景とした原油先物価格の上昇でインフレが高止まれば、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが後ずれ、それに伴いヘッジコストの高止まりや米金利上昇、株価の下落が予想されることから、機動的に対応していくとの方針を示した。
23年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.50―1.00%(年度末0.85%)
米10年債利回り 3.00─5.00%(同4.00%)
日経平均 25000─36000円(同33000円)
米ダウ 27000─38000ドル(同36000ドル)
ドル/円 125―155円(同140円)
ユーロ/円 135―165円(同150円)
(坂口茉莉子 編集:橋本浩)