Davide Barbuscia
[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が今年、バランスシートの圧縮を終了する可能性が出てきたことで、昨年末に始まった米国債価格の上昇が今年も続く可能性が高まったと投資家はみている。ただ、財政赤字を巡る懸念などが上昇に歯止めをかけるかもしれない。
3日に公表された12月12―13日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、バランスシート圧縮終了のシナリオについて一部委員が議論を始めていることが分かった。
FRBは、保有する米国債とモーゲージ担保債券が償還を迎えた際に再投資しないことにより、バランスシートを毎月約1000億ドル圧縮する「量的引き締め(QT)」を進めてきた。バランスシートは1兆ドル強減って12月27日時点で7兆7640億ドルとなり、2022年初頭から始まった連続利上げを補助する役割を果たしている。
今年はFRBが利下げを開始すると期待されているところにQT終了が近いとの見方が広がり、米国債価格にとって好材料がまたひとつ増えるとの声がある。
利下げ期待を背景に、10年物米国債利回りは10月に付けた16年ぶりの高水準から100ベーシスポイント(bp)余りも低下している。
もっとも、米財政赤字が拡大して今後10年間で20兆ドルに達すると予想されている上、大規模な外国人投資家の米国債需要が減少する可能性もあり、米国債価格の上昇には限度があると考える市場参加者もいる。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの債券共同統括、ビシャル・カーンドュジャ氏は「量的引き締めのペースが鈍化するのは好材料だが、財政状況は悪化していると思う」と語った。
一方、QT終了のタイミングを見極めるのは難しいかもしれない。利下げ開始時期と一致するとは限らない。
ドイツ銀行のアナリストチームは4日、米国がリセッション(景気後退)に陥ってFRBが利下げを開始する場合には、早ければ6月にもQTが終了するかもしれないと予想。半面、インフレは収まるが成長は底堅さを維持する「ソフトランディング」に至るとすれば、FRBはQTを来年まで続ける可能性があるとしている。