トランプ新大統領決定後の各国の金融相場をみたものが別表となる。
株式市場の上昇率は米国が相対的に高く、トランプ新大統領のリフレ政策期待がストレートに反映される状況となっている。
一方、日本株の上昇率はドイツと比較しても高くなっている。
為替相場での対ドルに対する円安の進行がユーロと比較しても早まっており、相対的な株高につながる格好のようだ。
米国のリフレ策に対する影響が限定的と見られる中国の上昇率は相対的に低く、メキシコは自国通貨安がむしろ資金流出懸念につながり、株価は急落する展開になっている。
中国とメキシコはトランプ氏の保護主義政策に対する懸念も株価上昇の抑制要因だろう。
ドル相場は、対ユーロよりも対円に対してドル高が進んでいる。
別表の金利は金利差で示しており、これによると日本とドイツの差は限定的であるが、率で見るとドイツ国債の上昇率は高まる状況となっており(0.185→0.305、日本はマイナス金利のまま)、対米での金利差の相対的な広がりがドルの対円での上昇率を高める要因になっていると見られる。
中国元に対するドルの上昇は相対的に低い。
トランプ氏による中国の為替政策に対する締め付けなどが想定される状況とも見られる。
なお、中国ではトランプ氏が大統領に就任するまでに、元安を進めたいとの思惑もあるようだ。
対ドルでメキシコペソは急落。
ドル高に伴う新興国通貨からの資金流出懸念がストレートに反映される格好になっている。
17日には金融政策決定会合が開催され、利上げの実施が想定されているが、他の新興国通貨の動向にも影響を与えるものとして注視したい。
(執筆/佐藤勝己~フィスコ・チーフアナリスト)