■株式相場見通し
予想レンジ:上限19700-下限19300円
来週は雇用統計の結果を受けた米株式の動向のほか、為替動向を睨みながらの相場展開になりそうだ。
また、11日にトランプ次期米大統領がNYで記者会見を行うほか、12日にはイエレンFRB議長が教育関係者向けタウンホールを開催する。
トランプ氏はツイッターなどを通じた一方通行の意見表明を多用し、企業や金融市場に混乱を与えている。
大統領選後は公の場での記者会見には応じていなかったため、市場の関心は高い。
またイエレンFRB議長については、米連邦準備制度に関しての講演だが、質疑応答で経済や見通し、金利動向に関する思惑につながろう。
6日発表の米12月雇用統計は非農業部門雇用者数が15.6万人増と予想(17.8万人増)を下振れたが、一方で失業率が予想と一致したほか、平均時給が7年半ぶりの高水準となったことが好感された。
この流れによりシカゴ日経225先物清算値は大阪比185円高の19585円となり、円相場は1ドル117円台とドル高・円安に振れており、今週初は買い先行の相場展開が期待されよう。
ただし、トランプ次期米大統領の記者会見を見極めたいとするムードから、戻り待ちの売り圧力も警戒されやすいだろう。
ツイッター発言で直ぐさま制度が変わるわけではないが、記者会見においての発言ともなれば市場コンセンサスにつながる可能性もあり、積極的なポジション取りは控えられる可能性もある。
トランプ政権に対するマイナス面を整理する必要もあるため、資金の流れにも変化が見られる可能性も意識しておきたいところである。
その他、米国ではJPモルガンなど金融機関の決算が予定されており、国内では小売セクターの決算が控えている。
トランプ物色を意識しつつも、業績相場にシフトしやすいだろう。
その他、家電見本市(CES)は終了するが、今週はデトロイト自動車ショーに関心が向かいやすく、EVのほか、自動運転車に関連するAIへの物色が意識されよう。
日経平均が昨年来高値水準での強弱感対立となるようだと、物色の矛先は出遅れ感のある中小型株のほか、テーマ株等での値幅取り狙いに傾きやすいだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開か。
昨年11月の米大統領選以降の急激なドル高を調整する動きが一時的にみられたが、トランプ次期政権による経済政策はドル高を促すとの見方が依然として多いことや、賃金上昇の兆候が表れている。
米連邦準備理事会(FRB)は2017年に3回以上の利上げを行う可能性は残されていることから、ドルの下値は堅そうだ。
今月20日の新政権発足に向け、トランプ氏の政策への関心が一段と高まろう。
大統領報道官に就任予定のスパイサー氏は1日、メディアとのインタビューで、「経済成長や雇用創出に悪影響を与えたオバマ政権の政策の多くを、トランプ氏が就任初日に廃止する」と言明した。
トランプ次期米大統領は11日にニューヨークで正式な記者会見を開く。
記者会見では通商問題や経済・財政政策に関する質問が出てくると予想されており、トランプ氏の応答が注目される。
経済成長や雇用創出につながる政策への市場の期待は高く、トランプ氏が財政拡大の意向を改めて表明した場合、ドルは買われやすい見通し。
一方、12月13-14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、ドル高リスクに対する警戒も出始めており、13日のイエレンFRB議長の発言も注目される。
■来週の注目スケジュール
1月 9日(月):独貿易収支、ユーロ圏失業率、米消費者信用残高など
1月10日(火):消費動者態度指数、中消費者物価指数、米求人件数など
1月11日(水):景気動向指数、英鉱工業生産指数、トランプ次期米大統領会見など
1月12日(木):東京オフィス空室率、欧鉱工業生産、イエレンFRB議長講演など
1月13日(金):米小売売上高、米ミシガン大学消費者信頼感指数、中貿易収支など