■同REITの特徴
1. サムティ・レジデンシャル投資法人 {{|0:}}の成長モデル
同REITの成長モデルは、他のREITと同様に、外部成長及び内部成長によってキャッシュフローの拡大を図り、「1口当たり分配金」を増やすものである。
特に、外部成長については、スポンサーからの安定供給が同REITの強力な成長エンジンとなっている。
今後は、第三者からの物件取得についても強化する方針であるが、その場合でも、ウェアハウジング機能などを含め、多岐にわたるスポンサーサポートの活用は大きな武器となると考えられる。
また、内部成長については、主要地方都市の物件が中心であることから、地域特性や物件特性、周辺のマーケット状況にあったきめ細かいリーシングやコスト削減がポイントになっている。
2. 利益超過分配金の還元
同REITの大きな特徴として、「利益超過分配金」の還元が挙げられる。
通常、REITは運用成果の分配として、当期純利益の全額を投資主に還元することを基本としているが、同REITの場合には、当期純利益に加えて、減価償却費の一部を投資家に還元する分配方針を採用している。
この通常の利益分配金を超える部分を「利益超過分配金」と呼ぶ。
ただ、本来、減価償却費は建物等の機能維持のための資本的支出に使用される性質のものであることから、一定のキャッシュマネジメントや制限のもとで実施する方針となっている。
すなわち、外部経済環境や不動産市況、同REITの財務等を総合的に勘案した上、資本的支出や運転資金等に充当後のフリーキャッシュフローの中から、財務基盤の強化やポートフォリオの収益力向上に向けた投資とともに最適な配分を決定している。
また、財務基盤の毀損を避けるため、「分配金総額(利益超過分配金を含む)」の「当期純利益+減価償却費(35%を上限)」に対する割合(ペイアウトレシオ)については70%を目処とする制限なども設けている。
J-REIT全銘柄の中で「利益超過分配金」を還元しているものは少なく、特にレジデンス系では同REITのみとなっている。
それを可能としているのは、同REITのポートフォリオの特徴にある。
地方レジデンス中心であることから物件取得価格に対する減価償却費の割合が大きくなる傾向があること、築浅物件が多いことにより資本的支出(修繕費等)が少ないところに起因する(余剰資金が生まれやすい)。
弊社では、スポンサーからの新築物件の安定供給が期待できることから、今後も「利益超過分配金」の還元は可能であるとみており、同REITの投資魅力の1つと捉えている。
3. ポートフォリオの特徴と優位性
(1) 主要地方都市を中心としたレジデンス投資
他のレジデンス特化型J-REITをはじめ、J-REITによるレジデンス投資は首都圏が中心となっていることから、同REITは独自のポジショニングと言える。
競合の激しい首都圏においては、不動産価格の高騰も含め、物件取得が困難な状況がみられるが、比較的プレイヤーの少ない地方都市においては合理的な水準で物件取得がしやすいメリットがある。
一方、人口流入や単身世帯の伸びが大きい首都圏(特に東京23区)と比較すると、地方都市の物件には稼働率に対する懸念のほか、物件取得ルートやネットワークがないこと、取得後の運用効率の低さなどが手を出しにくい要因となっている。
もっとも、同REITが中心とする主要地方都市は、世帯数伸び率や転入超過数において東京23区にも引けを取らない状況にある※1。
実際、同REITの主要地方都市の稼働率は首都圏を上回って推移※2している上、他のレジデンス特化型J-REITと比べても高い水準となっている。
また、物件取得ルートやネットワーク、運用効率についても、サムティグループの活用や連携が可能であるとともに、今後、各主要地方都市での規模拡大が進んでいけば、さらにネットワークの構築や運用効率の向上につながる好循環が期待できる。
※1 2000年から2014年までの世帯数伸び率では東京23区が約19.8%の伸び率であるのに対し、主要地方都市全体では約17.8%と東京23区と同様の増加傾向を示している。
また、2000年以降、東京23区が転入超過で推移しているのと同様に、主要地方都市においても全体として見ると安定的な転入超過となっている。
※2 2017年1月末の同REITの稼働率は主要地方都市が97.8%、首都圏が96.7%となっている。
(2) サムティグループによるスポンサーサポート
前述したとおり、同REITの独自のポートフォリオを可能としているのが、サムティグループによるスポンサーサポートである。
特に、サムティグループの自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ等の新築物件を中心とした安定供給は優位性の源泉となっている。
また、サムティグループが培ってきた主要地方都市での豊富な運用ノウハウのほか、外部取得物件についても多岐にわたるサムティグループのサポートが活用されている。
代表的なものとして、「ウェアハウジング機能の提供」※1や「再開発に関する支援」、「賃料固定型マスターリース契約の提供」※2、「リーシングサポート業務の提供」などが挙げられる。
※1 収益安定化や取得タイミング調整のため、投資法人が取得する前にスポンサーまたは設立したSPC(ブリッジファンド)が取得する物件取得手法のこと。
※2 マスターリース会社が一括で借り上げ(サブリース)、同REITに対して固定賃料を保証する契約。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. サムティ・レジデンシャル投資法人 {{|0:}}の成長モデル
同REITの成長モデルは、他のREITと同様に、外部成長及び内部成長によってキャッシュフローの拡大を図り、「1口当たり分配金」を増やすものである。
特に、外部成長については、スポンサーからの安定供給が同REITの強力な成長エンジンとなっている。
今後は、第三者からの物件取得についても強化する方針であるが、その場合でも、ウェアハウジング機能などを含め、多岐にわたるスポンサーサポートの活用は大きな武器となると考えられる。
また、内部成長については、主要地方都市の物件が中心であることから、地域特性や物件特性、周辺のマーケット状況にあったきめ細かいリーシングやコスト削減がポイントになっている。
2. 利益超過分配金の還元
同REITの大きな特徴として、「利益超過分配金」の還元が挙げられる。
通常、REITは運用成果の分配として、当期純利益の全額を投資主に還元することを基本としているが、同REITの場合には、当期純利益に加えて、減価償却費の一部を投資家に還元する分配方針を採用している。
この通常の利益分配金を超える部分を「利益超過分配金」と呼ぶ。
ただ、本来、減価償却費は建物等の機能維持のための資本的支出に使用される性質のものであることから、一定のキャッシュマネジメントや制限のもとで実施する方針となっている。
すなわち、外部経済環境や不動産市況、同REITの財務等を総合的に勘案した上、資本的支出や運転資金等に充当後のフリーキャッシュフローの中から、財務基盤の強化やポートフォリオの収益力向上に向けた投資とともに最適な配分を決定している。
また、財務基盤の毀損を避けるため、「分配金総額(利益超過分配金を含む)」の「当期純利益+減価償却費(35%を上限)」に対する割合(ペイアウトレシオ)については70%を目処とする制限なども設けている。
J-REIT全銘柄の中で「利益超過分配金」を還元しているものは少なく、特にレジデンス系では同REITのみとなっている。
それを可能としているのは、同REITのポートフォリオの特徴にある。
地方レジデンス中心であることから物件取得価格に対する減価償却費の割合が大きくなる傾向があること、築浅物件が多いことにより資本的支出(修繕費等)が少ないところに起因する(余剰資金が生まれやすい)。
弊社では、スポンサーからの新築物件の安定供給が期待できることから、今後も「利益超過分配金」の還元は可能であるとみており、同REITの投資魅力の1つと捉えている。
3. ポートフォリオの特徴と優位性
(1) 主要地方都市を中心としたレジデンス投資
他のレジデンス特化型J-REITをはじめ、J-REITによるレジデンス投資は首都圏が中心となっていることから、同REITは独自のポジショニングと言える。
競合の激しい首都圏においては、不動産価格の高騰も含め、物件取得が困難な状況がみられるが、比較的プレイヤーの少ない地方都市においては合理的な水準で物件取得がしやすいメリットがある。
一方、人口流入や単身世帯の伸びが大きい首都圏(特に東京23区)と比較すると、地方都市の物件には稼働率に対する懸念のほか、物件取得ルートやネットワークがないこと、取得後の運用効率の低さなどが手を出しにくい要因となっている。
もっとも、同REITが中心とする主要地方都市は、世帯数伸び率や転入超過数において東京23区にも引けを取らない状況にある※1。
実際、同REITの主要地方都市の稼働率は首都圏を上回って推移※2している上、他のレジデンス特化型J-REITと比べても高い水準となっている。
また、物件取得ルートやネットワーク、運用効率についても、サムティグループの活用や連携が可能であるとともに、今後、各主要地方都市での規模拡大が進んでいけば、さらにネットワークの構築や運用効率の向上につながる好循環が期待できる。
※1 2000年から2014年までの世帯数伸び率では東京23区が約19.8%の伸び率であるのに対し、主要地方都市全体では約17.8%と東京23区と同様の増加傾向を示している。
また、2000年以降、東京23区が転入超過で推移しているのと同様に、主要地方都市においても全体として見ると安定的な転入超過となっている。
※2 2017年1月末の同REITの稼働率は主要地方都市が97.8%、首都圏が96.7%となっている。
(2) サムティグループによるスポンサーサポート
前述したとおり、同REITの独自のポートフォリオを可能としているのが、サムティグループによるスポンサーサポートである。
特に、サムティグループの自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ等の新築物件を中心とした安定供給は優位性の源泉となっている。
また、サムティグループが培ってきた主要地方都市での豊富な運用ノウハウのほか、外部取得物件についても多岐にわたるサムティグループのサポートが活用されている。
代表的なものとして、「ウェアハウジング機能の提供」※1や「再開発に関する支援」、「賃料固定型マスターリース契約の提供」※2、「リーシングサポート業務の提供」などが挙げられる。
※1 収益安定化や取得タイミング調整のため、投資法人が取得する前にスポンサーまたは設立したSPC(ブリッジファンド)が取得する物件取得手法のこと。
※2 マスターリース会社が一括で借り上げ(サブリース)、同REITに対して固定賃料を保証する契約。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)