みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。
みなさんは「EV(電気自動車)」にお乗りになったことがありますか?私はまだなのですが、各地で走っているEVやEV用の充電スポットを見ると、未来の話だとばかり思っていたEVが着実に私たちの生活に広がっていることを実感します。
そんなEVの普及は、商品先物価格、例えば金属の一種「パラジウム」の価格にも影響を与えています。
耳馴染みがないかも知れませんが、商品先物市場に上場している数ある金属の中でも、パラジウムはプラチナと同様に自動車を生産する上でとても大切な役割を果たしているのです。
■パラジウムはガソリン車に使われているパラジウムは、ガソリン車の排ガスを浄化する際の触媒として多く使われています。
排気ガスには大気を汚染する物質がたくさん含まれています。
そのため、パラジウムが触媒のひとつとなり、有害な物質を除去することによって、排気ガスをきれいにするのに役立っているのです。
ちなみにディーゼル車では排気ガスの浄化触媒に主にプラチナが使われています。
■ガソリン車への需要増でパラジウム価格が上昇このディーゼル車ですが近年販売台数が減っています。
2015年にフォルクスワーゲンが排ガス規制から逃れるために、不正なやり方でディーゼル車の検査をしていたので、ディーゼル車への規制が厳しくなったのです。
そのためガソリン車への需要が高まり、ガソリン車の排ガス触媒であるパラジウムの価格に反映されています。
2018年の末にはプラチナの価格の1.5倍になったほど。
それまではプラチナよりも低い価格で推移していたので急激な上昇であるといえます。
さらに金の価格をも超えました。
ほかに価格の上昇を後押ししている要因として、パラジウムの生産量の多くをロシアが占めており、かつロシアは増産する計画はないとしていることも挙げられます。
また環境規制の強化により自動車触媒に用いられるパラジウムの量が増えていることも上昇を後押しています。
■パラジウム価格の上昇は続くのかでは、今後、パラジウムの価格はどのように動いていくのでしょうか。
10年先を見据えてみると、EVがガソリン車に取って代わる動きがより加速しているとしたらどうでしょう。
となるとパラジウムへの需要は減ることが想定されます。
また、パラジウム価格があまりにもプラチナ価格よりも高くなると、自動車メーカーはガソリン車にもパラジウムの代わりにプラチナを使うことが十分に考えられるのだそうです。
これはとても驚いたのですが、ガソリン車でも排ガス触媒としてプラチナを使うことは可能なのだそうです。
となると、パラジウム価格の今後の見通しとしては、目先的には上昇していくとみられるものの、長期的には上昇は続きにくいと考えることもできそうです。
EV化の影響は?と聞かれた場合、「排ガスがなくなって空気がきれいになる」「ガソリンスタンドが減る」などが個人的には最初に思いつきますが、商品先物視点で考えてみるのも面白いですね。
フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ