先週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均とも堅調ぶりを見せつけた。
前の週の流れを引き継ぎ、週初は日米株安とともに新興市場でもリスク回避目的の売りが広がった。
ただ、マザーズ指数は日足チャート上で25日移動平均線を割り込むことなく、6月19日には終値ベースで年初来高値を更新。
日経平均が一段安に至らなかったことで個人投資家のマインドが上向き、中小型のバイオ関連株やIT・インターネット関連株の循環物色が続いた。
なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.8%であったのに対して、マザーズ指数は+4.4%、日経ジャスダック平均は+2.1%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ (T:4385)が週間で4.5%高、アンジェス (T:4563)が同5.1%高と堅調。
アンジェスは新型コロナウイルスワクチンの治験を6月30日から始めると伝わっている。
東証1部への市場変更を発表したミクシィ (T:2121)は急伸し、同15.8%高となった。
売買代金上位では開発薬のライセンス契約締結を発表したオンコリスバイオファーマ (T:4588)、前回の当欄で取り上げたオンライン教材のすららネット (T:3998)などが大幅高。
また、決算が好感されたセルソース (T:4880)は週間のマザーズ上昇率トップとなった。
反面、フリー (T:4478)は同5.2%安、JMDC (T:4483)は同8.0%安と軟調で、今期減益予想のスマレジ (T:4431)などが下落率上位に顔を出した。
ジャスダック主力では、子供服に参入と報じられたワークマン (T:7564)が同5.4%高。
その他全般に小じっかりといったところだが、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)は同5.7%安と軟調だった。
売買代金上位では引き続きテラ (T:2191)が賑わったほか、低位株物色が活発だったことも窺える。
また、メディアリンクス (T:6659)が週間のジャスダック上昇率トップとなった。
反面、アイフリークモバイル (T:3845)などは利益確定売りがかさみ、下落率上位に顔を出した。
今週の新興市場では、マザーズ指数は上値を試す展開が続きそうだ。
先週末の米株式市場ではNYダウが200ドル超下落する一方、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は小幅ながらプラスを確保した。
新型コロナ再拡大の懸念がくすぶるが、潤沢な投資資金が「ニューノーマル(新常態)」で期待される新興・ハイテク株に向かう構図が日米で続くだろう。
後述のとおり2カ月以上ぶりのIPOも予定されており、新興株への物色意欲を一段と強めそうだ。
先行して株価上昇した主力級のIT・ネット関連株は足元やや伸び悩むが、直近で強気の投資判断が観測されたAI inside (T:4488)やJTOWER (T:4485)が頭角を現してきた。
より小型の銘柄にも物色のすそ野が広がりつつある。
なお、今週は6月24日に国際計測器 (T:7722)、25日に出前館 (T:2484)、オプトエレクトロニクス (T:6664)などが決算発表を予定している。
出前館は巣ごもり消費の恩恵やLINE (T:3938)との資本業務提携の効果のほどが注目されそうだ。
IPO関連では、6月24日にロコガイド (T:4497)、フィーチャ (T:4052)、コパ・コーポレーション (T:7689)、26日にコマースOneHD (T:4496)がいずれもマザーズへ新規上場する。
新興株の活況が続くなか、しかも4月6日の松屋アールアンドディ (T:7317)以来のIPOとあって市場の関心は高い。
チラシ・買い物情報サービスのロコガイドなど時流に乗る事業を手掛ける企業も多く、好スタートが期待できそうだ。