■株式相場見通し
予想レンジ:上限30000-下限29000円
来週の日経平均はもみ合いか。
国内企業の7-9月期決算発表が終盤戦に入る。
海外の物価関連指標など注目材料もあるが、基本的には企業決算を受けた個別株物色が中心となりそうだ。
株式市場全体としては引き続き堅調な展開が想定される。
今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想どおり量的緩和の縮小(テーパリング)開始が決まったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「インフレは一時的」との見方や利上げへの慎重姿勢を再表明。
総じてハト派的な内容と受け止められ、株式市場全体の押し上げにつながった。
また、4日、利上げが有力視されていた英国では、英イングランド銀行(中央銀行)が予想に反して政策金利を据え置いた。
声明では今後数カ月の間に政策金利の引き上げが必要になるとの認識を示したが、足元のインフレよりも早期利上げによる景気回復の腰折れを懸念している様子。
一方、米10年国債利回り及び期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はともに10月下旬をピークに上昇が一服。
差し当たっては緩和策の長期化が過度なインフレを招くとの恐れにはつながっていないようだ。
インフレを巡る思惑が適度にコントロールされながら緩和策長期化への期待が高まることは、相場のサポート要因となりそうだ。
10月の米雇用統計も景気回復を裏付けつつ、早期利上げの根拠としては力不足といったマイルドな結果となっており、相場の支援要因となろう。
他方、来週は米国や中国で消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など、物価関連の指標が多く発表される。
各国の金融政策関係者はすでに、供給ひっ迫に起因するインフレは来年以降まで続く見通しとの見解を示しているため、仮に結果が市場予想を上回ったとしても、見方を大きく変える必要はない。
しかし、米国で主要株価指数が揃って過去最高値圏にあること、将来の株価変動率を表し、「恐怖指数」とも呼ばれるVIXが警戒水準の20を大きく下回っていることを踏まえると、市場は弛緩的なムードに浸っていると窺える。
楽観に傾いている時こそ注意を払っておいた方がよいだろう。
他方、日本株に目を向けてみると、過去最高値を更新し続ける米国株と比べて上値の重い印象がくすぶる。
市場予想を大幅に上回る好調な決算が相次ぐ米国に比べ、日本では市場予想を上回る決算が相対的に少なく、上振れ度合いも小さい。
今週は、トヨタ自動車 (T:7203)が業績予想を上方修正しながらも、「円安効果を除けば資材高騰などで実質下方修正」とコメントしたことが象徴的だった。
バリュエーション面では割安とはいえ、積極的に日本株を選好しにくい状況と言えるだろう。
また、衆院選では、自民党が事前の予想を覆すほどの議席数を獲得し、ポジティブサプライズとなったが、そもそも岸田政権が掲げる政策は相場の支援要因にはなりにくいものが多い。
大型経済対策への期待も高まっているようだが、今のところ現金給付策くらいしか具体的になっていない。
政策がもっと明確に示されない限りは、海外投資家が日本株を積極的に買うことは期待しにくいだろう。
個別では、週初からソフトバンクグループ (T:9984)など注目企業の決算が控える。
指数寄与度が大きいだけに株価反応に注目。
また、株価に反映されるのは翌週となるが、週末には東京エレクトロン (T:8035)の決算がある。
業績好調は間違いないが、業績予想の上方修正幅などに注目。
これまでのところ、半導体関連の決算は群を抜いて良好で、SCREENHD (T:7735)、東京エレクトロンは今週に上場来高値を更新。
こちらも指数インパクトが大きいだけに、株価反応は重要。
良好な結果となれば、年末までの相場のけん引役は再びハイテク株となることが期待される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は早期利上げに慎重な姿勢を堅持し、リスク選好的なドル買いは一服した。
ただ、10月米雇用統計は予想以上に改善しており、高インフレの状態が続いた場合、早期利上げの可能性が再び高まることから、リスク回避的なドル売りは想定しにくい。
来週発表の10月生産者物価指数と10月消費者物価指数が市場予想を上回った場合、金利高・ドル高に振れる可能性はあろう。
欧米中央銀行による早期利上げ観測の後退によって世界的に株高に振れているが、NY株式市場の強気相場が続けば、リスク選好の円売りが強まる可能性は残されている。
なお、欧州、英国など他の主要中央銀行の金融政策はドル・円の相場動向にも影響を及ぼす可能性がある。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は来年中の利上げに否定的な見解を表明し、英中央銀行は緩和的な政策を当面維持すると予想されているが、こうした方針を受けてユーロ、英ポンドに対するドル買いが続いた場合、ドル・円の取引でもドル買いが優勢となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
11月8日(月):景気動向指数(9月)、決算発表:ソフトバンクG、欧・ユーロ圏財務相会合、中・中国共産党中央政治局が第19期中央委員会第6回総会(6中総会)開催(11日まで)など
11月9日(火):毎月勤労統計(9月)、貿易収支(国際収支ベース)(9月)、景気ウォッチャー調査(10月)、日本調理機が東証2部に新規上場、米・生産者物価コア指数(10月)、欧・欧財務相理事会など
11月10日(水):工作機械受注(10月)、中・消費者物価指数(10月)、中・生産者物価指数(10月)、米・消費者物価コア指数(10月)、米・財政収支(10月)、決算発表:米ウォルト・ディズニーなど
11月11日(木):国内企業物価指数(10月)、東京オフィス空室率(10月)、英・GDP(7-9月)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、米・債券市場は休場(ベテランズデー)、中・「独身の日」など
11月12日(金):決算発表:東エレク、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(9月)、米・求人件数(9月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(11月)など
予想レンジ:上限30000-下限29000円
来週の日経平均はもみ合いか。
国内企業の7-9月期決算発表が終盤戦に入る。
海外の物価関連指標など注目材料もあるが、基本的には企業決算を受けた個別株物色が中心となりそうだ。
株式市場全体としては引き続き堅調な展開が想定される。
今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想どおり量的緩和の縮小(テーパリング)開始が決まったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「インフレは一時的」との見方や利上げへの慎重姿勢を再表明。
総じてハト派的な内容と受け止められ、株式市場全体の押し上げにつながった。
また、4日、利上げが有力視されていた英国では、英イングランド銀行(中央銀行)が予想に反して政策金利を据え置いた。
声明では今後数カ月の間に政策金利の引き上げが必要になるとの認識を示したが、足元のインフレよりも早期利上げによる景気回復の腰折れを懸念している様子。
一方、米10年国債利回り及び期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はともに10月下旬をピークに上昇が一服。
差し当たっては緩和策の長期化が過度なインフレを招くとの恐れにはつながっていないようだ。
インフレを巡る思惑が適度にコントロールされながら緩和策長期化への期待が高まることは、相場のサポート要因となりそうだ。
10月の米雇用統計も景気回復を裏付けつつ、早期利上げの根拠としては力不足といったマイルドな結果となっており、相場の支援要因となろう。
他方、来週は米国や中国で消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など、物価関連の指標が多く発表される。
各国の金融政策関係者はすでに、供給ひっ迫に起因するインフレは来年以降まで続く見通しとの見解を示しているため、仮に結果が市場予想を上回ったとしても、見方を大きく変える必要はない。
しかし、米国で主要株価指数が揃って過去最高値圏にあること、将来の株価変動率を表し、「恐怖指数」とも呼ばれるVIXが警戒水準の20を大きく下回っていることを踏まえると、市場は弛緩的なムードに浸っていると窺える。
楽観に傾いている時こそ注意を払っておいた方がよいだろう。
他方、日本株に目を向けてみると、過去最高値を更新し続ける米国株と比べて上値の重い印象がくすぶる。
市場予想を大幅に上回る好調な決算が相次ぐ米国に比べ、日本では市場予想を上回る決算が相対的に少なく、上振れ度合いも小さい。
今週は、トヨタ自動車 (T:7203)が業績予想を上方修正しながらも、「円安効果を除けば資材高騰などで実質下方修正」とコメントしたことが象徴的だった。
バリュエーション面では割安とはいえ、積極的に日本株を選好しにくい状況と言えるだろう。
また、衆院選では、自民党が事前の予想を覆すほどの議席数を獲得し、ポジティブサプライズとなったが、そもそも岸田政権が掲げる政策は相場の支援要因にはなりにくいものが多い。
大型経済対策への期待も高まっているようだが、今のところ現金給付策くらいしか具体的になっていない。
政策がもっと明確に示されない限りは、海外投資家が日本株を積極的に買うことは期待しにくいだろう。
個別では、週初からソフトバンクグループ (T:9984)など注目企業の決算が控える。
指数寄与度が大きいだけに株価反応に注目。
また、株価に反映されるのは翌週となるが、週末には東京エレクトロン (T:8035)の決算がある。
業績好調は間違いないが、業績予想の上方修正幅などに注目。
これまでのところ、半導体関連の決算は群を抜いて良好で、SCREENHD (T:7735)、東京エレクトロンは今週に上場来高値を更新。
こちらも指数インパクトが大きいだけに、株価反応は重要。
良好な結果となれば、年末までの相場のけん引役は再びハイテク株となることが期待される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は早期利上げに慎重な姿勢を堅持し、リスク選好的なドル買いは一服した。
ただ、10月米雇用統計は予想以上に改善しており、高インフレの状態が続いた場合、早期利上げの可能性が再び高まることから、リスク回避的なドル売りは想定しにくい。
来週発表の10月生産者物価指数と10月消費者物価指数が市場予想を上回った場合、金利高・ドル高に振れる可能性はあろう。
欧米中央銀行による早期利上げ観測の後退によって世界的に株高に振れているが、NY株式市場の強気相場が続けば、リスク選好の円売りが強まる可能性は残されている。
なお、欧州、英国など他の主要中央銀行の金融政策はドル・円の相場動向にも影響を及ぼす可能性がある。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は来年中の利上げに否定的な見解を表明し、英中央銀行は緩和的な政策を当面維持すると予想されているが、こうした方針を受けてユーロ、英ポンドに対するドル買いが続いた場合、ドル・円の取引でもドル買いが優勢となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
11月8日(月):景気動向指数(9月)、決算発表:ソフトバンクG、欧・ユーロ圏財務相会合、中・中国共産党中央政治局が第19期中央委員会第6回総会(6中総会)開催(11日まで)など
11月9日(火):毎月勤労統計(9月)、貿易収支(国際収支ベース)(9月)、景気ウォッチャー調査(10月)、日本調理機が東証2部に新規上場、米・生産者物価コア指数(10月)、欧・欧財務相理事会など
11月10日(水):工作機械受注(10月)、中・消費者物価指数(10月)、中・生産者物価指数(10月)、米・消費者物価コア指数(10月)、米・財政収支(10月)、決算発表:米ウォルト・ディズニーなど
11月11日(木):国内企業物価指数(10月)、東京オフィス空室率(10月)、英・GDP(7-9月)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、米・債券市場は休場(ベテランズデー)、中・「独身の日」など
11月12日(金):決算発表:東エレク、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(9月)、米・求人件数(9月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(11月)など