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国内株式市場見通し:新型コロナ変異株や米政治経済情勢など外部環境の不透明感強い

発行済 2021-11-27 14:20
更新済 2021-11-27 14:30
© Reuters.
■新型コロナ変異株確認で週末にリスク回避ムード

今週の日経平均は大幅反落。
週末にかけて大きく下げ、週間では994.25円(-3.34%)の下落となった。
週明けの日経平均は28.24円高と小幅高。
欧州での新型コロナウイルス再流行が重しとなった一方、ナスダック総合指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の史上最高値更新を追い風にしたハイテク株高が支えとなった。
ただ、翌日の祝日に伴う国内休場や祝日明けの海外動向を見極めたいとの思惑から積極的な売買は限られた。


祝日明け24日の日経平均は471.45円安と大幅下落。
米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長が現任のパウエル氏で決まり、よりハト派色の強いブレイナード氏が選ばれなかったことを受け、早期金融引き締め懸念が強まった。
指数寄与度の大きいハイテク株を中心に下げ、日経平均は節目の29500円を意識した底堅さも見られていたが、同水準を割り込んだ後は売りが嵩み、急速に下げ足を速めた。


10月の米PCE(個人消費支出)コアデフレーターが31年ぶりの大幅な伸びとなったほか、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で数人の参加者が量的緩和縮小(テーパリング)ペースの加速を支持したことが明らかになり、早期の利上げ観測が改めて強まった。
しかし、長期金利の上昇一服でナスダック総合指数が反発したことが安心感を誘い、25日の日経平均は196.62円高と反発。
ただ、米国市場が感謝祭の祝日で休場となるのを前に模様眺めの雰囲気が漂い、戻りは限定的となった。


週末は、前日の米国市場の休場を背景に小動きが想定されていたが、朝方から売り先行で、急落。
南アフリカで確認された新型コロナ変異株の拡大が世界経済の正常化に水を差すとの見方から、東京市場ではリスク回避の動きが広がった。
休場明けの米国市場の動向を見極めたいとの思惑から買い手が限られるなか、ロスカットの動きや短期筋の仕掛け売りが相まって、一時900円近く下げた。


■積極的な押し目買いは期待しにくい

来週の日経平均はもみ合いか。
南アフリカで確認された新型コロナ変異株は感染力が高く、ワクチンの効果が低下する可能性が指摘されている。
ワクチンの有効性が再確認されるまでは、不安がくすぶり、積極的な押し目買いは期待しにくいだろう。
また、ワクチン接種の進展や治療薬への期待は残されてはいるものの、ワクチン接種が進んでいない新興国などで再び感染が拡大すれば、改めて供給網の混乱がリスク要因として浮上してくる。
ニュースフロー次第で買い戻しが入っても、戻りが限定的となる可能性も頭の片隅に入れておきたい。


FRBの議長人事で現任のパウエル氏の続投が決まってから、FRBの複数の高官による発言もあり、今週は再び早期金融引き締め懸念が高まっていた。
一方、週末に南アフリカでの新型コロナ変異株が確認されると、長期金利が急低下し、こうした思惑は足元でやや後退している様子。
しかし、ワクチンの有効性次第では再び金融引き締め懸念が台頭する可能性もある。
また、来週末には11月の米雇用統計が発表予定。
12月14日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要な判断材料となるだけに、結果を見極めたいとの思惑から買いが入りにくい展開が想定される。


12月3日には米連邦政府の2022会計年度の暫定予算が期限を迎える。
同日までに本予算か、新たなつなぎ予算を成立させなければ政府閉鎖のリスクが台頭する。
こうした米国の政治情勢も相場の攪乱要因となりそうで注意しておきたい。


週後半12月2日には、OPEC(石油輸出国機構)プラス会合が開催される。
足元、リスク回避ムードから原油先物価格も急落しているが、ワクチンの有効性が確認されたり、増産の一時停止や縮小が打ち出されると、再びインフレリスクに繋がりかねないため、可能性は低いものの注意したい。


■出遅れテック銘柄に相対的妙味

新型コロナ変異株をきっかけとした株式市場の急落をきっかけに米長期金利が急低下しているが、ワクチンの有効性が確認されれば、再び金融引き締め懸念が強まる可能性もある。
また、リスク回避ムードが強いなか、景気循環性をもつハイテク株の押し目買いは期待しづらい。
デジタルトランスフォーメーション(DX)やテレワーク関連など、ウィズコロナ性を帯びたIT系銘柄の中でバリュエーションが過度に高すぎない出遅れ銘柄を探したい。
なお、米国では顧客管理サービスを手掛けるクラウド大手セールスフォース・ドットコムの決算が30日に予定されている。
予想を上回る強い決算を示すことができれば、テック株の成長期待が再燃する可能性もあろう。


■中国PMI、米ISM、米雇用統計など

来週は29日に10月商業動態統計、米サイバーマンデー、30日に10月失業率・有効求人倍率、10月鉱工業生産、10月住宅着工統計、中国11月製造業購買担当者景気指数(PMI)、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月消費者信頼感指数、12月1日に7-9月期法人企業統計、11月新車販売台数、中国11月財新製造業PMI、米11月ADP全米雇用リポート、米11月ISM製造業景況指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2日にOPECプラス会合、3日に米11月雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数、米10月製造業受注などが予定されている。



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