[25日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが25日発表した2022年第4・四半期決算は売上高と利益が市場予想を上回った。同四半期の納車台数が過去最高に達したことが寄与した。ただ、自動車事業の利益率は大きく低下した。
売上高は243億2000万ドルで、リフィニティブのまとめたアナリスト予想の241億6000万ドルを上回った。
純利益は36億9000万ドル(1株当たり1.07ドル)で、前年同期の23億2000万ドル(同0.68ドル)から増加した。調整後の1株利益は1.19ドルと、市場予想の1.13ドルを上回った。
自動車事業利益率は25.9%となり、ここ2年間で最も低い水準だった。
同社は第4・四半期に主要市場で大幅値引きを行った。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は昨年12月に「急激な金利の変化」が、全ての自動車購入に影響を与えたと述べている。
2022年の納車台数を前年比50%増加させるという目標は達成できなかった。ただ、第4・四半期の納車台数は過去最高の40万5278台だった。
今年の納車台数は前年比37%増の180万台に達するとの見通しを示した。前年から伸び率は鈍化する。
マスク氏は株主・アナリストとの電話会見で、景気減速が消費者の購入意欲減退につながる懸念があることに関し、大幅値引きによってテスラ車への需要が喚起されたとの認識を表明。
「価格改定が平均的な消費者にもたらす影響は非常に大きい」とし、1月は生産台数の約2倍の需要があったと述べた。23年の販売台数は外部環境の混乱がなければ、200万台に達する可能性があるとした。
「今年はかなり厳しい景気後退(リセッション)」が見込まれると述べた。ただ、テスラ車への需要については、自動車市場全体の縮小が予想されるものの、堅調になるとの見方を示した。
時間外取引で同社株は一時5.3%上昇した。
ピックアップトラック「サイバートラック」については、来年まで量産を開始しないと述べた。
幹部らは、価格が平均4万7000ドルと比較的低い水準にとどまり、自動車事業の利益率は20%台を維持する見込みだと述べた。マスク氏は景気後退に陥る可能性は高いと述べた。
同社は、景気の不透明感を受け「コスト圧縮計画を加速し、生産率向上にまい進している」と強調した。
テスラは近年、新型コロナウイルス禍や世界的なサプライチェーンの問題を他社よりうまく切り抜けて業界をアウトパフォームし、売上高や利益を過去最高に伸ばしてきた。
CFRAリサーチのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏は「テスラの需要見通しは、他のほぼ全ての自動車メーカーよりはるかに強気だ」と指摘。第4・四半期決算は「堅調」だったとした上で「利益率は予想をやや下回った。インフレや原材料コスト上昇の影響だろう」と述べた。
大幅値引きにより利益率にはさらに下押し圧力がかかるとみられる。テスラは21年序盤から繰り返し値上げを行っていたが、昨年12月に米国で一転して値引きを実施。今月は最大20%の値下げに踏み切った。