[シドニー 15日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は15日に議会で証言し、政策金利がまだピークを付けていないとの見方を改めて示した上で、どの程度の上昇余地が残されているかは分からないと述べた。
賃金インフレが鈍化すれば金利ピークの到達およびリセッション(景気後退)回避が可能になると指摘した。
中銀による昨年5月以降の金融引き締めにもかかわらず、2022年第4・四半期の消費者物価指数(CPI)は前年比7.8%上昇と、約32年ぶりの伸びを記録した。
ロウ氏は「現在7.8%を付けているインフレ率はあまりに高すぎる。低下する必要があり、それが中銀の優先事項だ」と指摘。
金利がどの程度上昇する必要があるか問われると、当局者は予断を持っていないと応じた。
中銀はリセッションを招こうとしているわけではなく、賃金上昇率が妥当な水準にとどまれば経済の軟着陸(ソフトランディング)への「狭い道」が見いだせるようになるとの認識を示した。賃金と物価の上昇スパイラルに陥るリスクは比較的低いとした。
22年第3・四半期の賃金上昇率は前年比で3.1%だった。
ロウ総裁はまた、これまでの引き締めが想定以上に消費を下押しするリスクが存在する一方で、政策対応が不十分だというリスクもあると指摘。「双方向のリスクがあり、われわれは狭い道をどうにか抜けようとしている。一部の人が一方向のリスクに注目する理由は理解できるが、われわれはインフレ高進によるリスクにも留意する必要がある」と強調した。
インフレは「危険」で経済を弱体化させ、人々に打撃を与え、所得格差を悪化させる上に「高止まりすれば金利が一段と上昇し、失業が増える」と述べて、インフレ抑制の必要性を訴えた。
「利上げは常に不人気の措置だが、われわれの仕事はインフレ低下を確実に図り、可能ならばこれまで創出された雇用を守ることだ」と説明した。