[東京 24日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で、株価純資産倍率(PBR)対策の実施状況を聞いたところ、回答企業の49%が実施または検討中とした。内容は自己資本利益率(ROE)向上や情報発信(IR)の強化が6割を占めた。一方、51%は「実施も検討もしていない」としており、企業経営者の意識改革の必要性を指摘する声も聞かれた。
調査期間は3月8日から3月17日。発送社数は493社、回答社数は252社だった。
PBRは株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標で、1倍割れは株価が解散価値を下回ることを意味する。昨年7月時点で、PBR1倍未満の企業の比率は、米S&P500で5%、欧州STOXX600で24%だが、TOPIX500では43%となっており、東証は改善を促す方針だ。
この質問に回答した241社のうち、PBR対策を「実施している」が17%、「実施していないが検討中」が32%となった。一方、「実施も検討もしていない」は51%だった。「PBR1倍割れの多くの企業経営者が大きな課題として捉えていない印象がある」(精密機器)との指摘も聞かれた。
実施または検討中と回答した企業が、具体的な対策(複数回答可)として挙げたのは「ROEを高める政策」が66%と最も多く、情報開示や投資家とのコミュニケーションなど「IR」の強化が60%で続いた。このほか自社株買いが48%、増配が38%となった。
日本にPBR1倍割れ企業が多い理由(複数回答可)については「日本経済の低迷」が62%と最も多く、「日本株市場の低人気化」(48%)、「成長戦略の失敗」(41%)、「日本企業の前向きな投資不足」(39%)と続いた。回答者からは「各企業の戦略が投資家に理解されていない。ギャップがある」(ゴム)、「人口の減少」(電機)、「企業の収益性の問題」(卸売)といった指摘もあった。
日本の株式市場全体が成長するために「東証プライム(市場上場)の要件としてPBR水準も考慮することを検討してもよい印象がある」(前出の精密機器)といった意見も聞かれた。
(杉山健太郎)