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来週の相場で注目すべき3つのポイント:米債務上限交渉の行方、中国PMI/米ISM、米雇用統計

発行済 2023-05-27 18:23
更新済 2023-05-27 18:30
© Reuters.
*18:23JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:米債務上限交渉の行方、中国PMI/米ISM、米雇用統計 ■株式相場見通し

予想レンジ:上限32000円-下限30400円

来週の東京株式市場は波乱含みか。
米株高を好感し、今週末の日経225先物は夜間取引で31500円まで上昇してきた。
米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の躍進が続いており、週明けの東京市場でも半導体関連を中心とした上値追いが続く可能性がありそうだ。
また、海外投資家による日本株買いは続いているようで、今週からはロングオンリー、いわゆる買い持ち高しか作らない長期目線の投資家も日本株買いに動きはじめたとの指摘が聞かれている。
投資委員会で承認を得た後に動くプロセスを踏まえると、これら実需筋の買い越しはまだ続く可能性が高く、日本株の底堅さは続きそうだ。



一方、東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、個人投資家や年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の売り越しが続いており、国内勢は足元の上昇相場に追随する動きを見せていない。
日本株への期待が高まっているとはいえ、期待だけでどこまで海外勢が買い越しを続けるのかも未知数だ。
また、東証プライム市場の値上がり銘柄と値下がり銘柄の割合が拮抗する日が多くなっており、今週末にいたっては値下がり銘柄が全体の7割を超え、全面高の様相には程遠い状況となっている。



海外勢の日本株買いの要因として、東証によるPBR改善要請や植田日銀体制下での金融緩和継続などが挙げられている。
しかし、今週、日経平均が高値を更新するなか、鉄鋼や海運といったPBR1倍割れのバリュー(割安)系銘柄はむしろ軟調な動きが目立った。
また、植田日銀総裁は今週、金融政策運営で重視しているのは賃金よりも物価上昇とし、政策変更はあくまでも持続的・安定的な物価2%の達成が見込めるかで判断するとの見解を示した。
為替が再び1ドル=140円台に乗せ、沈静化したはずの輸入インフレが再燃しかねない状況が生じつつあるなか、再び政策修正への思惑が高まる場面があるかもしれない。
実際、円安が大きく進行しているにもかかわらず自動車株の動きはさほど良くない。



つまり、今週の日経平均の高値更新はひとえに半導体関連株の上昇で説明可能といえる。
今週、一時軟化した日経平均が30500円を割れずに切り返したのも、米エヌビディアの好決算に刺激を受けた半導体株高によるところが大きい。
米国でもナスダック指数やSOX指数の強い動きが続いている一方でダウ平均は冴えない。
生成AI(人工知能)ツールの普及を背景にハイテクブームが巻き起こっていることは悪いことではないが、ハイテクに一極集中しているような今の相場は心もとない。



東証によると、5月19日時点の裁定残高はネットベースで1兆275.58億円の買い越しとなっており、ネットの裁定買い残はまずまずの水準にまで積み上がってきた。
長期目線の海外投資家も動きはじめたことは支援材料ではあるが、足の速い短期筋の買い持ち高もかなり積み上がっているとみられ、上値追いには慎重になるべきだろう。



来週は中国で5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)や財新製造業PMIが、米国では供給管理協会(ISM)の5月製造業景気指数、5月雇用統計などが発表される。
中国では経済指標の下振れが続き、すでに年頭にあった中国経済の回復期待は剥落している。
弱い指標結果となれば中国地域での売上比率の高い銘柄の売り圧力となりそうだ。
また、米国でもサービス業の堅調さは続いている一方、今週に発表された5月製造業PMI速報値は景況感の拡大・縮小の境界値である50を再び割り込むなど、製造業の停滞が確認されている。
ダウ平均の下落が続いているところからも窺えるが、景気後退懸念は強く、ISM製造業景気指数の結果を注視したい。



米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡っては、FRB内部でかなり意見が分かれているようだ。
ただ、24日に発表された英国4月消費者物価指数(CPI)の大幅な上振れや、ウォラーFRB理事のタカ派発言、米経済指標の上振れを受けて、6、7月会合いずれかでの利上げが織り込まれつつある。
米金利が上昇傾向を強めつつあるなか、米雇用関連の指標を受けた金利動向を注意深く見守りたい。
ほか、米債務上限問題のデッドラインが近づくなか、政府・民主党と野党共和党による交渉が相場のボラティリティーを高める可能性にも注意しておくべきだろう。



■為替市場見通し


来週のドル・円は底堅い値動きか。
米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの是非については今後の経済指標次第とみられ、リスク選好的なドル買い・円売りはある程度抑制される可能性がある。
ただ、インフレ圧力が短期間で弱まることは期待できないとの見方が多く、金融政策をにらみドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。



5月2-3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、物価目標を上回る高インフレが続いており、今後も引き締め政策を緩めないとの意見で一致していた。
今後の経済指標の内容次第だが、6月の利上げ休止観測は一段と後退した。
来週発表される経済指標では、5月ISM製造業景況感指数や5月雇用統計の平均時間給に対する関心が高いようだ。
賃金上昇圧力は弱まっていないため、平均時間給の伸びが市場予想を上回った場合、金利高・ドル高に振れやすい展開が見込まれる。



債務上限問題についてはバイデン政権と野党・共和党との協議はある程度進展したが、いくつかの問題は解決されていないため、6月初旬頃の債務不履行(デフォルト)が警戒される。
債務問題の不透明感によりドル売りが強まる可能性は残されているが、最終的に双方が合意に達し、債務上限の引き上げが実現された場合はドルの買戻しが見込まれる。



なお、日本銀行の植田和男総裁は4月の就任以来、国会などで緩和政策を当面継続するとの方針を繰り返し説明している。
そのため日米金利差が意識され、一時的に利食い売りが増えることはあるものの、ドルは下げづらい状態が続くとみられる。



■来週の注目スケジュール

5月29日(月):日・景気動向指数(3月)、米・株式市場は祝日のため休場(メモリアル・デー)、など

5月30日(火):日・有効求人倍率(4月)、国内自動車各社が生産・販売実績発表(4月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(5月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(3月)、米・消費者信頼感指数(5月)、米・リッチモンド連銀総裁が全米企業エコノミスト協会(NABE)のインタビュー、など

5月31日(水):日・小売売上高(4月)、鉱工業生産指数(4月)、住宅着工件数(4月)、消費者態度指数(5月)、中・製造業PMI(5月)、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(5月)、米・JOLT求人件数(4月)、米・ボストン連銀総裁とボウマンFRB(連邦準備制度理事会)理事がイベント開会のあいさつ、米・ボストン連銀総裁がイベント閉会のあいさつ、米・フィラデルフィア連銀総裁が講演、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、など

6月1日(木):日・法人企業統計(1-3月)、日・米・欧・製造業PMI(5月)、中・財新製造業PMI(5月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(5月)、米・ADP全米雇用報告(5月)、米・労働生産性確定値(1-3月)、米・ISM製造業景況指数(5月)、米・フィラデルフィア連銀総裁がウェビナーで講演、など

6月2日(金):米・雇用統計(5月)、など
6月4日(日):石油輸出国機構(OPEC)プラス」閣僚級会合

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