[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;31917.48;+170.95TOPIX;2311.24;-0.95
[後場の投資戦略]
本日の東京株式市場は、前日に日経平均が今年最大の上げ幅を記録した直後にもかかわらず、急伸の反動をこなして底堅い動きを見せている。
先週4日に30500円割れまで急落した日経平均は、9月15日終値からわずか3週足らずの間に3000円超も下落した。
この間に、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの短期筋の持ち高は一気にネットロング(買い越し)からネットショート(売り越し)へと転じたとの試算もある。
ポジションが身軽になった状態で、米雇用統計を無難に消化し、警戒されていた米長期金利も低下に転じたことで、短期筋は一気に再び買い越しに転じてきているもよう。
前日の先物手口などをみても、ドイツ証券やバークレイズなどシステマティックな売買を主体とする向きと思われる買い越しが目立った。
ただ、前日10日の東証プライムの売買代金は3兆円台半ばにとどまっており、日経平均が今年最大の上げ幅を記録した割には物足りない水準だ。
買いの主体はあくまで短期筋に限定され、実需筋はまだ先行きに懐疑的なようだ。
日経平均は32000円近くまで上昇してきたことで戻り一服感なども意識されやすいところ。
32000円は累積売買代金からみて商いが最も集中している価格帯で、この水準では戻り待ちの売りも出やすくなってくる。
また、東京証券取引所が公表している空売り比率(規制あり・規制なし合計)は6日の43.3%から10日には38.0%まで低下。
過去の推移をみてもボトム圏に近い水準にまで低下しており、ここからの一段の株価上昇には追加材料が必要だろう。
今晩は注目の米9月卸売物価指数(PPI)が発表される。
総合は前年同月比+1.6%
と8月(+1.6%)から横ばいの一方、モメンタムを示す前月比は+0.3%と8月(+0.7%)から鈍化する見込み。
食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比では+2.3%と8月(+2.2%)から小幅に加速する予想も、前月比では+0.2%と8月(+0.2%)と同じ伸びにとどまる見込みだ。
総じてインフレの鈍化基調を再確認する結果が予想されており、予想通りの結果となれば、株式市場のリバウンド機運の追い風となりそうだ。
一方、9月以降の米長期金利の急上昇を巡っては、米景気に対する楽観的な見方やFRBの「Higher for Longer(より高く・より長く)」のスタンスを反映したものという考え方のほか、米中長期債の発行規模拡大に伴う需給の悪化や政局混迷に伴う信用リスクの高まりを反映したものとの考え方もある。
後者の見方がより強く働いた結果であるのであれば、米長期金利の動向についてはまだ予断を許さない。
つなぎ予算の成立で一時的に回避されている米政府機関の閉鎖の先行きは、マッカーシー前下院議長の解任により先行き混沌としている。
新しい下院議長の選任に手間取れば、再び米政府機関の閉鎖が懸念され、信用リスクの高まりを通じた米長期金利の上昇が再燃する可能性もある。
イスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃を発端とした中東情勢の混乱についても、今のところは相場への影響は限定的だが、今後の動向次第ではイランに対する原油輸出規制の強化や石油輸送海路の遮断などのリスク要素がくすぶる。
原油市況が左右する米長期金利への影響も注視する必要があろう。
目先は短期強含みも、中長期ではまだ楽観には傾きにくい状況が当面続きそうだ。
(仲村幸浩)
日経平均;31917.48;+170.95TOPIX;2311.24;-0.95
[後場の投資戦略]
本日の東京株式市場は、前日に日経平均が今年最大の上げ幅を記録した直後にもかかわらず、急伸の反動をこなして底堅い動きを見せている。
先週4日に30500円割れまで急落した日経平均は、9月15日終値からわずか3週足らずの間に3000円超も下落した。
この間に、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの短期筋の持ち高は一気にネットロング(買い越し)からネットショート(売り越し)へと転じたとの試算もある。
ポジションが身軽になった状態で、米雇用統計を無難に消化し、警戒されていた米長期金利も低下に転じたことで、短期筋は一気に再び買い越しに転じてきているもよう。
前日の先物手口などをみても、ドイツ証券やバークレイズなどシステマティックな売買を主体とする向きと思われる買い越しが目立った。
ただ、前日10日の東証プライムの売買代金は3兆円台半ばにとどまっており、日経平均が今年最大の上げ幅を記録した割には物足りない水準だ。
買いの主体はあくまで短期筋に限定され、実需筋はまだ先行きに懐疑的なようだ。
日経平均は32000円近くまで上昇してきたことで戻り一服感なども意識されやすいところ。
32000円は累積売買代金からみて商いが最も集中している価格帯で、この水準では戻り待ちの売りも出やすくなってくる。
また、東京証券取引所が公表している空売り比率(規制あり・規制なし合計)は6日の43.3%から10日には38.0%まで低下。
過去の推移をみてもボトム圏に近い水準にまで低下しており、ここからの一段の株価上昇には追加材料が必要だろう。
今晩は注目の米9月卸売物価指数(PPI)が発表される。
総合は前年同月比+1.6%
と8月(+1.6%)から横ばいの一方、モメンタムを示す前月比は+0.3%と8月(+0.7%)から鈍化する見込み。
食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比では+2.3%と8月(+2.2%)から小幅に加速する予想も、前月比では+0.2%と8月(+0.2%)と同じ伸びにとどまる見込みだ。
総じてインフレの鈍化基調を再確認する結果が予想されており、予想通りの結果となれば、株式市場のリバウンド機運の追い風となりそうだ。
一方、9月以降の米長期金利の急上昇を巡っては、米景気に対する楽観的な見方やFRBの「Higher for Longer(より高く・より長く)」のスタンスを反映したものという考え方のほか、米中長期債の発行規模拡大に伴う需給の悪化や政局混迷に伴う信用リスクの高まりを反映したものとの考え方もある。
後者の見方がより強く働いた結果であるのであれば、米長期金利の動向についてはまだ予断を許さない。
つなぎ予算の成立で一時的に回避されている米政府機関の閉鎖の先行きは、マッカーシー前下院議長の解任により先行き混沌としている。
新しい下院議長の選任に手間取れば、再び米政府機関の閉鎖が懸念され、信用リスクの高まりを通じた米長期金利の上昇が再燃する可能性もある。
イスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃を発端とした中東情勢の混乱についても、今のところは相場への影響は限定的だが、今後の動向次第ではイランに対する原油輸出規制の強化や石油輸送海路の遮断などのリスク要素がくすぶる。
原油市況が左右する米長期金利への影響も注視する必要があろう。
目先は短期強含みも、中長期ではまだ楽観には傾きにくい状況が当面続きそうだ。
(仲村幸浩)