■まず「業績の向上」に取り組み「IR活動の強化」も推進、さらに奥の手も
ティムコ<7501>(東証スタンダード)は2月24日の午後、「上場維持基準の適合に向けた計画」を発表し、東証スタンダード市場の上場維持基準のうち、『流通株式時価総額』だけが同基準に達していないことを受け、まず、「業績の向上」に取り組み、「IR活動の強化」を行うとともに、これらでは不足する場合には、さらなる「流通株式数の増加」に取り組んで行くとした。
■東証スタンダード市場の「上場維持基準の適合に向けた計画」を発表
同社の流通株式時価総額は、前期の決算期である2022年11月末現在で9.52億円となり、上場維持基準の10億円に適合しなかった。他の基準である『株主数』『流通株式数』『流通株式比率』は、いずれも上場維持基準をクリアしている。(以下全文:敬体略)
【業績の向上について】
同社では、流通株式時価総額が基準を下回った最も大きな要因は、業績低迷に伴う株価の下落によるものと考えている。2022年11月期においては当期純利益1億26百万円を計上したが、それ以前はコロナ禍の影響も加わり3期連続で当期純損失を計上していた。今期・2023年11月期は、売上高34.90億円(前期比106.1%)、営業利益1.49億円(前期比131.8%)、当期純利益1.28億円(102.1%)を計画しており、収益の向上に努めていく。収益の2本の柱となるフィッシング事業とアウトドア事業において、以下の施策により収益性の強化に取り組んでいく。
なお、2023年11月期の業績が確定し決算発表が行われるのが2024年1月となる。そのため、計画期間については、2023年11月期の業績が確定し、株価にも反映される期間を踏まえて、2024年11月末とする。
<フィッシング事業>
(1)組織体制の見直し
近年、特に釣用品に関しては、SNSや動画を活用した宣伝、販売促進活動が、プロモーションの効果の成否を分けるようになってきた。当社では、宣伝及び販売促進活動をより強固なものとするため、2022年12月1日より開発とプロモーションを担う部署と営業に特化とした部署とに切り分けた組織体制に変更した。作り手としての魂を直接消費者に伝えられる体制となるほか、様々なメディアを連携した効果的なプロモーション活動を行っていく。
(2)プロモーション体制の強化
組織体制の変更と共に、SNSや動画サイトを中心としたプロモーション強化のため、2023年11月期においてはルアーカテゴリーのファン数を3割増加させる目標を定めるなど、各カテゴリーに応じた計画を立案している。また、当社のフィッシング事業においては全国各地のフィールドのスタッフからの情報発信においても、より強固な体制となるべく体制を強化した。
(3)スクール・イベントの強化
当社は、フライフィッシングの分野において国内最大シェアを持つ。このため、参加人口の拡大が収益向上に連動する。また、この釣りジャンルにおいては、道具の使い方のレクチャーを行うことが参加人口の定着率を高める。業界のリーダーである当社のフライフィッシングスクールの活動が参加人口増加に寄与し、ユーザー数の増加に繋がることから、2023年11月期においてはスクール講師を2倍に増強し、受講生増加に対応する計画となっている。その他、インターネットの動画サイトによるレクチャーの実施など、参加人口増加に向けた取り組みを行っている。
(4)取り扱い強化店の増加
当社商品の得意先取引店の増加及び新規開拓により、2023年11月期においては、取り扱い強化店を現在よりも10%以上増加し、得意先の販売網を強化する計画である。また、店頭における当社商品のイベントの開催やキャンペーン企画等を強化し、より消費者との接点を増やし、得意先の増加とともにファン層の獲得に努めていく。
<アウトドア事業>
(1)オンライン販売の強化
当社のアウトドア事業においては、オリジナルアウトドア衣料ブランド『フォックスファイヤー』を取り扱っている。2023年11月期においては、ECサイトのプロモーション強化のほか、売り機会損失を減少させることにより、同ブランドにおける自社ECサイトにおける販売を2割増として計画しており、ブランド全体におけるECの売上比率を高めていく計画だ。
(2)ポイント会員数の増加
2021年にフォックスファイヤーのポイント会員制度をリニューアルした。会員数は初期増加期にあたり、2023年11月期においては会員数を5割増加とする計画である。これによりCRM(Customer Relationship Management)をさらに強化して、サービス向上とリピート率、セット率の向上に努めていく。
(3)利益率の改善
コロナ禍においては販売が低迷し、商品の消化率の低下を解消するため、割引販売を増やして対応した。これにより割引販売の恒常化や利益率の低下が発生するため、2022年秋冬以降は割引販売の実施を控えて利益率の改善に努めている。
(4)フィッシングギアの強化
当社のオリジナルアウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」のうち、釣りに関連するアイテムを強化し、釣具店等の新たな販売チャネルをさらに拡大していく。2023年11月期においては、フィッシングギアの売上高を3割増加する計画となっている。
これらに加え、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携をさらに強化して、ティムコとしての総合力を活かして全社的な収益性の強化に取り組んでいく。
【IR活動の強化】
当社では、IR活動に係る費用対効果を考慮し、総体的に企業価値を高められるよう運営を進めている。当社は、最終消費財を取扱う事業であることから、さらなるPRの強化により商品及び事業の認知度の向上を図るのに併せて、現在のIR活動を丁寧に継続し、当社の魅力を積極的に情報発信することに努めていく。
IR活動に関しては、今後、アナリスト説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会等の開催のほか、IRや企業紹介に関連した番組の取材や、社長出演等に積極的に取り組んでいく。取材等においても、当社の企業価値の向上につながる話題性を提供していく。
また、当社のIRサイトにおいては、リアルタイムに情報開示を行うほか、投資家、株主からの質問等に回答するため、お問合せ窓口も開設しており、疑問や質問に対応している。より投資家や株主とのコミュニケーションを高め、共感の得られるIR活動に努めていく。
<IRサイト>
<お問合せ窓口>
【流通株式数の増加】
流通株式時価総額を高めるには、株価と流通株式数いずれか、または両方の向上策が必要となり、このうち上記の【業績の向上について】【IR活動の強化】にかかわる取り組みは株価向上のための施策となっている。
当社の流通株式時価総額は上記の2つの取り組みによる株価向上によって上場維持基準を達成できるものと考えている。しかし、外部的要因等によって株価が押し下げられ、流通株式時価総額の増加が見込めない状況が発生した場合、役員及び利害関係者等の保有株式のほか、当社株式を保有の一般法人や長期運用の株主に対して株式の売却を要請することも視野に入れている。
ただし、株式市場への大量放出は株価下落の原因ともなり得るため、流通株式数の増加に関しては、市場の動向を見ながら有効な方法を選択していく。
(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)