[ロンドン 1日 ロイター] - ウクライナ戦争や新型コロナウイルス感染への対応によってインフレの波が押し寄せる中、市場では、エネルギー価格ショックや対ロシア制裁に伴うサプライチェーン(供給網)の問題、さらに労働力不足といった要因を背景に、インフレの波を阻止することは難しいといった声が聞かれる。
ドイツ銀行ウェルスマネジメントのグローバル最高投資責任者(CIO)、クリスティアン・ノルティング氏は調査リポートで、米国のインフレ率が7%を突破したことに触れ、「部屋の中のサイは解き放たれ、今や止めるのが難しいかもしれない」と指摘。「労働力人口の減少に加え、労働集約型サービスが国内総生産(GDP)に占める割合の増加といった長期的な問題は今後も続くとみられ、したがってインフレが今後数年のうちにコロナ前の水準に戻ることはない」と予想した。
また、ウクライナ侵攻に絡む対ロシア制裁がサプライチェーンの問題を悪化させる中、石油・天然ガス価格ショックが物価をさらに押し上げかねないと警告。「制裁措置だけでなく、ロシアで事業を停止している企業がサプライチェーンの問題を悪化させているほか、プラチナ、パラジウム、ネオンの不足が中間製品の生産を妨げている」とした。
ノルティング氏は、ウクライナ戦争と欧州のエネルギー輸入への依存から、2022年と23年は米国の経済成長がユーロ圏を上回るとの見通しを示した。