[フランクフルト 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストであるレーン専務理事は24日、ユーロ圏経済について、新型コロナウイルス危機からの回復には長い時間がかかると予想、ここ数日の一連の堅調な指標は、必ずしも景気回復の良い目安にはならないと述べた。
同専務理事は、経済活動の再開に伴い、目先の成長指標は大幅に改善するだろうが、経済は極めて大きく縮小しており、経済活動は長期にわたって危機前の水準を大幅に下回ると予想。初期の回復の規模は良い目安にならないかもしれないと述べた。
同専務理事は講演で「欧州連合(EU)の復興基金を巡る交渉の結果が、ユーロ圏経済の今後の道のりを決める上で重要な要素となる」とも述べた。
EUは7500億ユーロ(8470億ドル)規模の復興基金を巡る交渉を進めている。
同専務理事は「所得の減少と用心のための貯蓄が、引き続き消費の重しとなっている」とし「需要低迷に加え、供給面の制約が続いており、社会的距離を確保する規制も導入されている。こうした要因が、経済活動の正常化を妨げている」と述べた。
ECBには景気回復を下支えする決意があり、利下げも辞さないが、長期国債利回りが事実上、利下げに反応しなくなっており、効果が期待できない可能性があるという。
同専務理事は「市場の正常化が進み、中期のインフレ見通しで正当化できれば、将来、利下げに踏み切る用意があるが、状況を踏まえれば、現状では資産買い入れのほうが効果的な手段だとの判断に傾く」と述べた。
また、原油価格の急落のために一部で予想されるマイナスのインフレ指標は回避できるとの自信を強めていると指摘。「われわれが取っている措置は財政措置とともに、インフレをプラス圏にとどまらせるだろう」とし、「われわれはマイナスのインフレが回避できることを一段と楽観しているかもしれない」と述べた。
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