[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米ニューヨーク市議会は30日夜、市警察(NYPD)の予算削減を盛り込んだ2021会計年度予算を可決した。ただ、一部の市議は、予算の削減額は要求していた10億ドルに達していないと不満を表明している。
ニューヨーク市議会の発表によると、警察予算を4億8400万ドル近く削減するほか、3億5400万ドルを市の他部門に振り向ける。学校の安全管理者の監督業務を、警察から市教育局に移管するという。
予算案は採決が遅れ、期限である午前0時の数分前に可決された。投票は電話会議で行われた。
採決に先立ちデブラシオ市長は記者団に「改革を実行し、これからの市警察のあり方を深く考える時期に来ている」とし、批判は承知しているがこれは「本物の改革」だと述べた。
同市で警察予算の削減に至った背景には、2つの要因がある。
1つ目は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて、90億ドルの歳入不足が生じたこと。
2つ目は、白人警察官による暴行で黒人男性が死亡した事件をきっかけに、全米で警察の暴力に対する抗議活動が広がり、警察の予算削減を求める声が強まったことだ。ニューヨーク市でも前週、数千人のデモ隊が市庁舎周辺に集結。警察予算を10億ドル削減し、他の社会サービスに割り当てるよう要求した。
*内容を追加しました。