「未来をつくるのは、ひとの力だ」をグループ経営理念に掲げるヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスは1996年の創業。
経営層、シニアマネジメント層を中心としたエグゼクティブサーチに強みを持ち、ミドルマネジメント層、若手の転職までを手掛ける人材紹介会社の老舗だ。
グループ内に人材紹介、メンタルヘルスケア、人材育成の事業会社を有し、企業の人材に関わるニーズにワンストップで応える。
「日本は少子高齢化で人があふれていた時代は終わり、働き手は貴重なリソースになっています。
優秀な人材を見極め、育て、ケアし、人材の価値を高めることがこれからの企業の成長と日本社会の活性化のカギです」と語るのは、渡部昭彦(わたなべ あきひこ)社長だ。
元銀行マンであり、セブン・イレブン・ジャパンでは人事セクションの責任者として毎年1000人以上の採用に関わり、人事制度の構築に従事してきた。
楽天グループでは財務担当、管理本部の担当役員を歴任した。
創業者の安藤秀人(あんどう ひでと)氏に請われる形で2007年9月に社長に就任した。
「人材の採用から、モチベーションの向上、人材育成と、『ひと』にかかわるサービスを一気通貫で提供できるのが当社の強みです」事業別の売上構成比は、人材紹介が43%、メンタルヘルスケアが33%、当期より連結に加わった人材育成が24%である。
営業利益ベースで見ると、メンタルヘルスケアが57%、人材紹介が41%である。
人材育成が2%なのは、19年7月に子会社化したサイコムブレインズののれんの償却負担が影響している。
グループの人員は人材紹介81名、メンタルヘルスケア36名、人材育成37名とバランスのとれた構成となっている。
メンタルヘルスケアを2000年からサービスとして提供しており、この分野での先駆者である。
大企業向けの従業員支援プログラムは、社員、家族が抱える様々な悩みにカウンセリングで支援する。
全国に78名いる同社専属のカウンセラーが、地域の出張所から顧客企業の相談者のいるところまで駆けつける「現場型」出張カウンセリングが強みだ。
渡部社長によれば、相談者の悩みは本人の仕事や職場だけででなく、家族の問題、介護や子供の教育問題も多いのだという。
同社のサービスは、顧客企業の社員の家族も相談可能だ。
健康経営や働き方改革への、企業側の意識が高まっていることもあり、他の研修やストレスチェックも含め、順調に売上を伸ばしている。
新型コロナウイルスの感染拡大は同社の人材教育事業にも、集合研修の中止や延期という形で影響を及ぼしているが、この点について質問すると、「今回分かったのは、対面でなくても結構やれるんだということ。
むしろこの危機をチャンスに、従前より取り組んできたICTを駆使したeラーニングや、オンライン配信による短時間の学習コンテンツのマイクロラーニングなどを一気に推し進め、人材育成に革新をもたらしたい。
そして3つの事業分野のシナジーを追求することで、3年後を目途に売上高50億円を達成したいですね」と語る渡部社長は自信にあふれていた。