■ドル下げ渋り、米経済指標改善を意識したドル買い継続
先週のドル・円は下げ渋り。
米中貿易摩擦の長期化が懸念されていることや、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とカナダの二国間協議は難航するとの思惑が浮上したものの、米経済指標の改善や米国金利の先高観を背景とするドル買いは継続した。
4日発表された8月の米ISM製造業景況指数は、市場予想を大幅に上回る61.3となり、2004年5月以来の高水準に達した。
関税引き上げにも関わらず強い米国経済への自信が広がりドル買い・円売りが優勢となった。
米トランプ政権が日本との貿易赤字削減を進めるため圧力を高めるとの警戒から、ドル・円は110円38銭まで反落したが、7日発表された8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+20.1万人、平均時給は前年比+2.9%でいずれも市場予想を上回っており、ドル買い材料となった。
7日のニューヨーク市場では、米8月雇用統計で賃金や雇用の伸びが予想を上回り、追加利上げを正当化するとの見方が強まり、ドル・円は111円25銭まで買われた。
その後、トランプ米大統領が新たに2670億ドル相当の中国製品に対する追加関税の用意があることを明らかにしたことや、日本との貿易協議を開始する方針を示したことから、貿易摩擦激化への警戒感が再び高まった。
リスク回避の円買いが観測されたが、ドル・円は111円を挟んだ水準で推移し、111円06銭でこの週の取引を終えた。
ドル・円の取引レンジ:110円38銭−111円76銭。
【今週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米金利上昇慎重論への思惑くすぶる
今週のドル・円は伸び悩みか。
米中間の通商摩擦は激しさを増しており、新興国通貨安への警戒感は低下していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いが増える可能性は残されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)による9月追加利上げは織り込み済みだが、米国金利の大幅な上昇について金融当局者から慎重な意見も出始めており、ドルの大幅高は想定しにくい。
北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とカナダの協議の行方は注目されており、合意形成は困難との見方が広がった場合、米中貿易摩擦激化への思惑がさらに強まり、世界経済の減速も懸念される。
また、トルコリラや南アフリカランドなど新興国通貨の不安定な値動きは引き続き警戒されており、新興国通貨に対してドルや日本円が買われるケースは今後も続く可能性がある。
一方、8月米消費者物価指数や8月米小売売上高などの経済指標が市場予想に沿った内容だった場合、年4回の利上げシナリオ(年内2回の追加利上げ)が意識され、ドル買い材料になるとみられる。
ただ、セントルイス地区連銀のブラード総裁は5日の講演で、「金融引き締めは中立的な水準に達した」と主張した。
8月の米雇用統計では平均時給が前年比+2.9%のやや高い伸びを記録しており、インフレ加速の可能性は残されているが、金融当局者がさらなる利上げについて慎重な見解を提示した場合、リスク選好的なドル買いを抑制する一因となる。
今週発表されるインフレ関連の経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売りが増える可能性があるので注意したい。
【米・8月消費者物価コア指数(コアCPI)】(13日発表予定)
13日発表の8月消費者物価コア指数(CPI)は、25-26日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた最終的な判断材料となる。
想定通りなら9月利上げを完全に織り込む展開となりそうだ。
7月分は前年比+2.4%だが、8月のインフレ率は7月実績と同水準になるとみられる。
【米・8月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の米7月小売売上高は前月比+0.6%と、7月の同+0.5%を上回る見通し。
小売売上高は増加基調を維持しており、8月の数字が市場予想と一致すれば、持続的な経済成長への期待が高まり、ドル買い材料となりそうだ。
予想レンジ:109円50銭−112円50銭
先週のドル・円は下げ渋り。
米中貿易摩擦の長期化が懸念されていることや、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とカナダの二国間協議は難航するとの思惑が浮上したものの、米経済指標の改善や米国金利の先高観を背景とするドル買いは継続した。
4日発表された8月の米ISM製造業景況指数は、市場予想を大幅に上回る61.3となり、2004年5月以来の高水準に達した。
関税引き上げにも関わらず強い米国経済への自信が広がりドル買い・円売りが優勢となった。
米トランプ政権が日本との貿易赤字削減を進めるため圧力を高めるとの警戒から、ドル・円は110円38銭まで反落したが、7日発表された8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+20.1万人、平均時給は前年比+2.9%でいずれも市場予想を上回っており、ドル買い材料となった。
7日のニューヨーク市場では、米8月雇用統計で賃金や雇用の伸びが予想を上回り、追加利上げを正当化するとの見方が強まり、ドル・円は111円25銭まで買われた。
その後、トランプ米大統領が新たに2670億ドル相当の中国製品に対する追加関税の用意があることを明らかにしたことや、日本との貿易協議を開始する方針を示したことから、貿易摩擦激化への警戒感が再び高まった。
リスク回避の円買いが観測されたが、ドル・円は111円を挟んだ水準で推移し、111円06銭でこの週の取引を終えた。
ドル・円の取引レンジ:110円38銭−111円76銭。
【今週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米金利上昇慎重論への思惑くすぶる
今週のドル・円は伸び悩みか。
米中間の通商摩擦は激しさを増しており、新興国通貨安への警戒感は低下していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いが増える可能性は残されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)による9月追加利上げは織り込み済みだが、米国金利の大幅な上昇について金融当局者から慎重な意見も出始めており、ドルの大幅高は想定しにくい。
北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とカナダの協議の行方は注目されており、合意形成は困難との見方が広がった場合、米中貿易摩擦激化への思惑がさらに強まり、世界経済の減速も懸念される。
また、トルコリラや南アフリカランドなど新興国通貨の不安定な値動きは引き続き警戒されており、新興国通貨に対してドルや日本円が買われるケースは今後も続く可能性がある。
一方、8月米消費者物価指数や8月米小売売上高などの経済指標が市場予想に沿った内容だった場合、年4回の利上げシナリオ(年内2回の追加利上げ)が意識され、ドル買い材料になるとみられる。
ただ、セントルイス地区連銀のブラード総裁は5日の講演で、「金融引き締めは中立的な水準に達した」と主張した。
8月の米雇用統計では平均時給が前年比+2.9%のやや高い伸びを記録しており、インフレ加速の可能性は残されているが、金融当局者がさらなる利上げについて慎重な見解を提示した場合、リスク選好的なドル買いを抑制する一因となる。
今週発表されるインフレ関連の経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売りが増える可能性があるので注意したい。
【米・8月消費者物価コア指数(コアCPI)】(13日発表予定)
13日発表の8月消費者物価コア指数(CPI)は、25-26日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた最終的な判断材料となる。
想定通りなら9月利上げを完全に織り込む展開となりそうだ。
7月分は前年比+2.4%だが、8月のインフレ率は7月実績と同水準になるとみられる。
【米・8月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の米7月小売売上高は前月比+0.6%と、7月の同+0.5%を上回る見通し。
小売売上高は増加基調を維持しており、8月の数字が市場予想と一致すれば、持続的な経済成長への期待が高まり、ドル買い材料となりそうだ。
予想レンジ:109円50銭−112円50銭