2013年12月、失脚が報じられて4日後に処刑された北朝鮮・金正恩政権のナンバー2張成沢(チャン・テンソク)氏。
金正日の妹に当たる金敬姫を妻とし、金正日の側近を務め、甥である金正恩氏の後見人的存在として党・軍・国家に影響を与える人物だったとされる。
彼のような大物に下った死刑判決文には「犬畜生にも劣る醜い人間のゴミ」「天下の万古逆賊」「反党・反国家・反人民的罪悪」といった罵詈雑言が並んだ。
頭を押さえつけられた張氏が罪を認める裁判所内での映像を、朝鮮中央放送が報じた。
反人道的なこの手法には、中国の文化大革命(文革)を彷彿させるものとして、当時、中国でも話題になった。
まだ中国インターネットでも実名制が導入されておらず、今日よりも比較的闊達な議論が交わされていた。
ネットユーザ(以下略)記者劉向南:どこかで見た場面だな。
どこかな?判決文もそう遠くない文革のとき良く読まされた。
杜子建假意維権:これは明らかに我が家40年前の文革時代の文書を盗作したものだ。
兎主席:ならず者国家の判決文。
ならず者のDNAが紙面からにじみ出ている。
俊磊哥:北朝鮮のこのワンシーンは20世紀、社会主義運動を繰り広げていた国々で上演されていた。
その真骨頂を発揮したのはドイツや旧ソ連、中国。
今日の北朝鮮はまさに民主主義国家の鏡のように、この地球にかつてあった醜さを照らし出した。
しばしば中国では革命歌、革命舞がもてはやされることがある。
文革の捲土重来を懸念する人も少なくない。
こうした人たちは北朝鮮を反面教師として「その存在に意義がある」としている。
*「文革を忘れさせない北朝鮮」「台湾は神様からのプレゼント」
王瑛:(張氏の処刑で)経験者の記憶を蘇らせ、未経験者に警鐘を鳴らした。
(文革の復権運動が盛んだった)重慶や北朝鮮がなければ、極権専制は文革の終焉とともに忘れ去れてしまうだろう。
重慶や北朝鮮があるからこそ、極権専制の中国での復権は警戒されている。
台湾は神様が中国人へプレゼントしたものだ。
今見ると、北朝鮮と気が狂った金正恩も同じだ。
呉稼祥:世界中の怒りを買った張氏の処刑は中国にとって悪いことばかりではない。
われわれには唾棄されたが、北朝鮮でまだ維持されている極権専制は人間性や人倫を滅ぼし、二度と復活させてはならない。
北朝鮮と良好な関係を保ちたい中国の政治家は北朝鮮に生まれていないことを喜ぶべきだ。
北朝鮮のやり方で中国を治めたい人もこれでしっぽを巻くだろう。
張氏のような結末を迎えたい人はいないからだ。
また、中国とのパイプ役である張氏が処刑されても、中国外務省が「北朝鮮の内政問題」「今後も伝統的な中-朝友好関係を継続して発展させていくだろう」とコメントしたことに批判が集まった。
木子老龍:ここまで邪悪な政権を我が政府は盟友とし、援助を続けている。
裏切られる日がそのうちやってくる。
独裁政権は頼みがたい。
いつそっぽを向かれるかが分からない。
北朝鮮のミサイルはアメリカに到達しないが、中国には到達するぞ。
新華社通信の記者陳玉明も中国の対北朝鮮政策を批判した。
「朝鮮半島が統一すれば、アメリカの勢力は中国東北部に及んでしまう、と政府は考えているようだ。
しかし、アメリカはそれほど危険なのか? アメリカはヨーロッパや日本にも軍事基地を持っているが、ヨーロッパも日本もアメリカの植民地にはならなかった。
アメリカと北朝鮮はどっちが危険なのか? 抗米援朝戦争のおかげで金一族は政権を取った。
しかし、60数年経った今でも、まだ抗米と援朝を行っている」
中国でも文革のとき、当時の共産党ナンバー2、林彪の死亡事件があった。
毛沢東主席暗殺未遂事件及びクーデター未遂事件を起こし、その後の亡命途中、飛行機墜落事故で死亡したとされる。
いずれも中国政府側の発表で、真実は今も謎のまま。
同じナンバー2の死亡に、ネットユーザ劉勝軍改革は「林彪の死をきっかけに、文革を反省する動きがあり、ようやく収束に向かった。
張成沢の死は北朝鮮国民の反省のきっかけになるのか」とかすかな期待を寄せた。
しかし、無慈悲な金一族による独裁体制は続き、5年後の今に至っても、自由の兆しは一向に差してこない。
(翻訳編集・李沐恩)
※2013年1月掲載記事を再編
【ニュース提供・大紀元】