トランプ大統領の誕生を織り込んで、本日の日経平均は1000円超の下落となったが、明日以降も下値模索の動きが継続する可能性は高いと考える。
最大の問題としては、政策の不透明感が強いことが挙げられる。
とりわけ、金融政策に関しては、イエレン氏の低金利政策を批判するものの、自らの政策の方向性が全く見出せていない印象がある。
加えて、輸出関連株などにはネガティブな政策運営にもなるとみられる。
トランプ氏の経済アドバイザーの大半は富裕層のビジネスマンとされており、意外と米国株式市場には支援材料へとつながっていく可能性もあろう。
米国企業収益に関しても、移民の減少による労働コストの増加などは想定されることになるが、法人税減税などが実施されればプラスに働くことになる。
ただ、日本株に対する影響はマイナスの面が大きいだろう。
とりわけ、関税引き上げやTPP見送り、さらには円高圧力などを背景に、日本の代表的な輸出関連にはネガティブと捉えられる。
企業収益の低下に直結することになる。
また、米国向け輸出の減少は設備投資意欲の低下にもつながることになり、国内景気の上昇も抑制させよう。
政治面への影響もマイナス材料となってこよう。
早期の衆院解散が実施される可能性もあるが、その場合は安全保障対策に向けた憲法改正などを視野に入れたものになるとみられる。
経済政策や金融政策は当面は二の次になると考えられ、当面の期待イベントの低下につながるものとみられる。
軍事費の増加が想定されることで、財政問題への懸念から、今後の公共工事の余力低下なども意識されてこよう。
ここ最近の日本株は、外需、金融を中心とした政策が主導してきた経緯があり、これらに対する期待感が低下することは、日本株の浮揚を難しくさせることになろう。
今後もトランプ氏の発言が折に触れてマーケットに影響を与える可能性がある。
とりわけ、日本株にとってはマイナスインパクトにつながりやすく、本日の急落からの戻りは目先限定的となろう。
ブレグジットで急落した水準、14864円レベルを試しに行く場面が年内に訪れる公算も。
こうしたなか、建設機械大手などは米国インフラ投資拡大で期待できるほか、三菱重など防衛関連として位置づけられる重機大手などには注目が向かう余地があろう。
(佐藤勝己/フィスコ 株式チーフアナリスト)