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C&R Research Memo(5):オープンイノベーションプロデュース事業が本格的に始動

発行済 2017-05-15 15:54
更新済 2017-05-15 16:00
C&R Research Memo(5):オープンイノベーションプロデュース事業が本格的に始動
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■クリーク・アンド・リバー社 (T:4763)の成長戦略と将来展望

1. 50分野へ展開
日本が誇るプロフェッショナル分野という定義で、クリエイティブ分野、医療分野などの10分野に展開してきたが、今後も事業の深堀りと他分野への展開を続けていく。
新たな分野として、研究、建築、食、ファッションにも注力していきたいと考えているようだ。
大学教授などは、特定の分野では優秀で有能な人材であるけれども、ビジネス化に長けた欧米などの研究者に先んじられ、その研究成果がうまく活用されている状況とはお世辞にも言い難い。
ビジネス化を推進することは当然だが、同社はそれ以上に他分野との連携を深め新たな商品やサービスの可能性を積極的に探っていく方針だ。
今後、同社では、現在の10分野から50分野への展開を計画しており、展開局面を支える人材が育ってきていること、スタートから本格展開までに必要になるシステム構築の所要時間が短縮化されたのに伴い、50分野への展開は今後数年間で攻めきれると同社は見ている。
これまで人的・金銭的投資をして展開フォーマットを完成するのに時間を要したが、これまでの蓄積により他分野への展開は容易である見通し。
同社は、今後の収益拡大が一気に進むと見ている。
なお、現時点で特定の買収案件はないようだが、収益機会の拡大を目的に買収も一手段としては検討しているもようだ。


(1) JURISTERRA
法曹分野では、2016年にJURISTERRA(ジュリステラ)というSNSを立ち上げた。
これは、ビジネス法務に特化したSNSプラットフォームであり、これにより国内外の弁護士をつなぐことが可能となる。
海外業務が絡む案件数はグローバル化を背景に拡大しているが、海外のビジネス法務にも対応できるのは、国内の大手法律事務所に限られており、全体の3%程度と言われている。
JURISTERRAの導入により、国内の中小規模の法律事務所であっても海外の弁護士との協働が可能となる。
現在8,800人超の弁護士が登録しており、今後はさらに深堀りしていく予定だ。


(2) VR Japan
同社は、ヴァーチャル・リアリティ(仮想現実。
以下、VR)及びオーギュメンテッド・リアリティ(拡張現実)の新会社VR Japanを2016年8月に設立している。
同社は、ケーブルレスの一体型VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)である「IDEALENS K2」を、国内で独占販売する権利を持つ。
VRは2016年、スマートフォンゲームなどによってその存在を一般にも広く知られることになったが、同社は、産業用途の方が展開分野や効果が大きいと注目しており、これも深堀りしていく方針。
手術のシミュレーションや建設分野の職人の手による作業チェックなどがVRによって大掛かりな設備なしでの訓練が可能となるだろう。


(3) オープンイノベーションプロデュース事業
同社は、4月12日に「オープンイノベーションプロデュース事業」を発表した。
オープンイノベーションとは異業種、異分野が持つ技術やアイディアなどを組み合わせて、革新的なビジネスモデルやサービス開発などにつなげる方法論と定義している。
オープンイノベーションプロデュース事業では同社の約15,000社の取引先企業に対して、28年間培ってきたコンテンツ開発、プロモーションノウハウを生かして、大学の技術を積極的に紹介していくというもので、知的財産エージェンシーの本格的なスタートとなる。
同社の資料によると、2015年の国内での特許出願件数は31万8,721件あり、そのうち未利用の特許(休眠特許)は、約65%存在すると推測している。
同社は、大学や中小企業などの研究・開発の貴重な成果でありながら利用されていない特許こそが産業発展のための重要な知的財産であると捉え、同社グループがネットワークする17万人のプロフェッショナルの協力のもと、新たな収益を生み出すためのアイディアを提案する。
研究成果の登録及び相談は無料とし、実際に共同研究などのスタートが決定した際に、同社が手数料を受け取る成果報酬型の契約となる。
第1弾の参画大学となる明治大学とは2017年秋までに建築やファッション、クリエイティブ分野などでの活用手法の提案を行う予定である。


本サービスの運用に当たり、同社のIT分野のグループ会社である(株)リーディング・エッジ社とエコノミックインデックス(株)とともにAI技術の1つである機械学習を、外部連携先の選定に活用する取り組みを実施する。
論文などの研究成果データをAIが単語やデータ、文章パターンや画像の特徴などに自動で分析して分類し、技術や研究者を求めている企業のニーズに最適なシーズを選び出し、共同開発などにつなげる仕組みとなる予定である。


2. 将来展望
同社は、プロフェッショナル人材エージェンシーからプロフェッショナル知財エージェンシーへの飛躍を掲げている。
能力を組み合わせることにより新たな価値(サービス・商品)を生み出す真のプロフェッショナル・エージェンシーになることが目的だ。
オープンイノベーションプロデュース事業は、その一翼を担う事業となるだろう。
長期的な業績目標としては売上高1,000億円、営業利益100億円を視野に置いているようだ。


また、同社は、資金調達などの選択肢の拡大も目的に、プロフェッショナルネットワークの周辺でサービスを展開するサービス事業会社である、プロフェッショナルメディア、エコノミックインデックス、VR Japan、CREEK & RIVER Global Inc、MCRアナリティクスの5社の上場も視野に入れている。
早ければ、2019年2月期中にも実現する見通しだ。


(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)

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