[ニューヨーク 4日 ロイター] 5日からの週の米国株式市場では、株式オプション市場で下落を見込んだ取引が活発なことに加え、テクニカル面からも見通しは厳しさを増していることから、2カ月間続いている下落基調を打ち破ることは困難な見通し。
懸念されていた最悪のシナリオを免れた6月の雇用統計や最近の相場急落は、短期的には買いの機会を示しているが、株を動かす材料が欠けるなかで、投資家が株を買う理由を見出だすことは難しいとみられている。
米株市場は5日、独立記念日の振り替えで祝日となるため休場となる。そのため休日を挟んだこの週は薄商いとなることが予想され、より一層振れの大きい展開になる可能性がある。
前週は週足で、ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>が4.5%、S&P総合500種<.SPX>が5%、ナスダック総合<.IXIC>が5.9%それぞれ下落した。
シールズ・アンド・コーの市場アナリスト、フランク・グレッツ氏は「200日移動平均を上回っている銘柄は約30%に過ぎず、大半が下落基調にある」と指摘。「市場は商いを伴って上昇する必要があるが、祝日による休場や、最近の株材料が一段と悲観的な見方を形成している点を踏まえても、実現は難しい」との見方を示した。
S&P総合500種やナスダック総合に連動する上場投資信託(ETF)のオプション取引では、株下落を見込んだプットオプションが活発に取引されており、シェーファーズ・インベストメント・リサーチのシニアテクニカルストラテジスト、ライアン・デリック氏は「トレーダーが潜在的損失をヘッジしていることを示唆している」と指摘。「著しく売られ過ぎの状況にあるが、一段の売りが不可能な訳ではない。オプション市場は弱気な見方が支配的であり、弱気トレンドは継続する見通し」と述べた。
一方で、最近の市場の急落に加え、6月の雇用統計でみられた一部の明るい材料から、短期的に株価を支援する可能性があるとの指摘もある。
今週発表される数少ない経済指標のなかでも、8日に発表が集中するとみられる6月の小売既存店売上高は、消費支出動向を見極めるうえで注目されている。また6日には、6月米ISM非製造業景気指数が発表される。
12日の週から始まる決算シーズンを前に、一部の企業が業績見通しの発表を行う可能性もある。