■中期経営計画
(1)メディカルサービス事業 −得意分野の強化
フランスベッドホールディングス (T:7840)グループの福祉用具貸与事業のビジネス領域は、メーカーとして福祉用具、主に介護ベッドの製造、車いすなどの開発・組立出荷、他の介護用品の仕入れによる商品ラインアップの拡充を行う。
また、福祉用具貸与事業はパイオニア企業として長年行ってきたが、他のレンタル事業者へ卸売も行っている。
福祉用具レンタルサービスの流れは、要支援1・2、もしくは要介護1〜5に該当する利用者が居宅介護支援事務所または地域包括支援センターにケアプランを相談することからスタートする。
ケアマネジャーが、ケアプランを利用者に提示してから、福祉用具貸与事業者または介護予防福祉用具貸与事業者にサービス提供を依頼する。
それらの用具貸与事業者が、利用者に商品を貸与して、福祉用具利用状況を確認する。
利用者は、レンタル料の1割相当の負担額※を貸与事業者に支払う。
貸与事業者は、ケアマネジャーが所属する事務所もしくはセンターに、福祉用具利用状況の報告をする。
※所得により2割負担の場合もある。
同社グループが提供する介護保険が適用される福祉用具貸与種目として、車いすと同付属品、特殊寝台と同付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置があげられる。
得意分野を強化するため、製販一貫体制を活かし、経営資源を集中して取組んでいる。
施設などでの介護人材不足や在宅での老老介護の増加を鑑み、介護の労力軽減と省力化につながる福祉用具の開発にフォーカスしている。
介護用品・福祉用具分野の新製品開発を積極的に推進し、業界初の商品を市場に投入している。
2016年5月に、転倒防止と自動ブレーキ機能を搭載した「転ばなイス」を発売し、レンタルを開始し、テレビコマーシャルの放送も始めた。
今後も、ますます重要な問題となる認知症に対応した商品や、看護師や介護職員などの負担軽減を図るための安全に配慮した付加価値の高い商品の継続的な販売促進に取り組んでいく。
前後安心車いす「転ばなイス」は、日本だけでなく、世界にもない画期的な製品である。
同社グループは、2016年9月にドイツで開催される「国際リハビリテーション・福祉・介護機材展 REHACARE 2016」に出展する。
高齢化率の高いヨーロッパ諸国や、高齢化が急速に進むアジア諸国などにも通用する世界標準化をめざす。
2016年4月に、製品開発などにおける産学連携協定を東洋大学と締結した。
両者の資源を活用することにより、超高齢社会における健康増進に寄与することを目的に、製品開発における技術的課題解決のための共同研究を行う。
(2)「リハテック」事業 −新たな収益機会の獲得
アクティブシニア向けブランド「リハテック」は、メディカルサービス事業だけでなく、インテリア健康事業やその他も組織横断的に展開される。
リハテックブランドの商品を展示する直営の「リハテックショップ」は、10店(千葉県1店、東京都2店、愛知県1店、大阪府3店、和歌山県1店、広島県1店、福岡県1店)を展開している(2016年3月末現在)。
「リハテックショップ」の店舗網により、認知度の向上やブランドイメージの定着を図る。
加えて、家具店や百貨店、家電量販店等が「リハテックコーナー」を設け、リハテック商品を展示している。
北は北海道、南は九州・鹿児島まで30店舗以上になる。
積極的な新製品の発売で商品ラインアップを拡充している。
今期に入って、軽量タイプの歩行車「ラクティブR1」や光る杖「ライトケイン」の新たなラインアップとして、折り畳みタイプの販売を開始した。
ハンドル型電動車いす「スマートパルS637」や電動アシスト三輪自転車などの商品を、ユーザーの自宅近くで体験できる無料出張試乗会を設けて売上の獲得を狙う。
(3)インテリア健康事業 −安定的に収益を確保できるビジネスモデルへの転換
かつては結婚を機に、家具のまとめ買いがされた。
現在は、そのような傾向が薄れるとともに、婚姻数自体が減少している。
日本の年間婚姻件数は、団塊の世代が適齢期に達した1972年の婚姻ブーム時に110万件を記録した。
2014年には約64万件まで低下し、ピークから約4割縮小した。
新設住宅着工戸数は、かつて年間で160万戸を超えていたが、現在は100万戸を割れており、2025年には60万戸台を予想している調査機関もある。
家具小売業の事業所数は、かつて3万以上あったが、3分の1程度へ減少した。
一方、店舗が大型化しており、製造小売(SPA)がシェアを拡大している。
同社は、プレゼンテーションスタジオを全国に11ヵ所設けて、家具店舗に展示される機会の少ない高級家具の展示スペースを確保している。
大手小売企業と取引があるものの、全国にある中小家具店が主要な取引先であったことから、市場の変化からの打撃を受けた。
そのため、量から質への転換を図り、他社との差別化によって安定的な収益の獲得をめざす。
多品種少量生産に対応した受注生産方式を推進することで、在庫の削減と利益率の改善を図る。
インテリア商材のなかでも内製化率が高いマットレスは比較的納期が短い。
東洋紡と共同開発した新素材「ブレスエアーエクストラ」を採用し、快適な睡眠を提供する「新リハテックマットレスRH-BAE」の販売に注力している。
女性をターゲットに開発した“柔らかい”のに“寝返りしやすい”「クラウディア(Cloudia)マットレス」を発売し、新たなニーズの獲得に努めている。
ベッドは、グラフィックアートテクノロジーといった新技術、ニットや特殊突板ボードといった新素材を活用した独創的な新デザインの高付加価値商品にフォーカスしている。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催などに向けて増加しているシティホテル等の法人需要に対して、営業体制を強化した。
客室ベッドの入替案件など、受注が増加傾向にある。
訪日外国人旅行者は年間2千万人に達しようとしているが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け増加傾向が期待される。
○デイサービス事業
2010年に、介護保険利用者を対象とした「悠悠いきいき倶楽部」という名称の介護予防通所介護施設を開設した。
その後は、フランチャイズ展開をしたこともあり、直営及びフランチャイズ施設が延べ27ヵ所にまで拡大した。
事業の選択と集中の一環として、2016年7月にデイサービス事業を分割し、専業の(株)ミストラルサービスに事業譲渡した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
(1)メディカルサービス事業 −得意分野の強化
フランスベッドホールディングス (T:7840)グループの福祉用具貸与事業のビジネス領域は、メーカーとして福祉用具、主に介護ベッドの製造、車いすなどの開発・組立出荷、他の介護用品の仕入れによる商品ラインアップの拡充を行う。
また、福祉用具貸与事業はパイオニア企業として長年行ってきたが、他のレンタル事業者へ卸売も行っている。
福祉用具レンタルサービスの流れは、要支援1・2、もしくは要介護1〜5に該当する利用者が居宅介護支援事務所または地域包括支援センターにケアプランを相談することからスタートする。
ケアマネジャーが、ケアプランを利用者に提示してから、福祉用具貸与事業者または介護予防福祉用具貸与事業者にサービス提供を依頼する。
それらの用具貸与事業者が、利用者に商品を貸与して、福祉用具利用状況を確認する。
利用者は、レンタル料の1割相当の負担額※を貸与事業者に支払う。
貸与事業者は、ケアマネジャーが所属する事務所もしくはセンターに、福祉用具利用状況の報告をする。
※所得により2割負担の場合もある。
同社グループが提供する介護保険が適用される福祉用具貸与種目として、車いすと同付属品、特殊寝台と同付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置があげられる。
得意分野を強化するため、製販一貫体制を活かし、経営資源を集中して取組んでいる。
施設などでの介護人材不足や在宅での老老介護の増加を鑑み、介護の労力軽減と省力化につながる福祉用具の開発にフォーカスしている。
介護用品・福祉用具分野の新製品開発を積極的に推進し、業界初の商品を市場に投入している。
2016年5月に、転倒防止と自動ブレーキ機能を搭載した「転ばなイス」を発売し、レンタルを開始し、テレビコマーシャルの放送も始めた。
今後も、ますます重要な問題となる認知症に対応した商品や、看護師や介護職員などの負担軽減を図るための安全に配慮した付加価値の高い商品の継続的な販売促進に取り組んでいく。
前後安心車いす「転ばなイス」は、日本だけでなく、世界にもない画期的な製品である。
同社グループは、2016年9月にドイツで開催される「国際リハビリテーション・福祉・介護機材展 REHACARE 2016」に出展する。
高齢化率の高いヨーロッパ諸国や、高齢化が急速に進むアジア諸国などにも通用する世界標準化をめざす。
2016年4月に、製品開発などにおける産学連携協定を東洋大学と締結した。
両者の資源を活用することにより、超高齢社会における健康増進に寄与することを目的に、製品開発における技術的課題解決のための共同研究を行う。
(2)「リハテック」事業 −新たな収益機会の獲得
アクティブシニア向けブランド「リハテック」は、メディカルサービス事業だけでなく、インテリア健康事業やその他も組織横断的に展開される。
リハテックブランドの商品を展示する直営の「リハテックショップ」は、10店(千葉県1店、東京都2店、愛知県1店、大阪府3店、和歌山県1店、広島県1店、福岡県1店)を展開している(2016年3月末現在)。
「リハテックショップ」の店舗網により、認知度の向上やブランドイメージの定着を図る。
加えて、家具店や百貨店、家電量販店等が「リハテックコーナー」を設け、リハテック商品を展示している。
北は北海道、南は九州・鹿児島まで30店舗以上になる。
積極的な新製品の発売で商品ラインアップを拡充している。
今期に入って、軽量タイプの歩行車「ラクティブR1」や光る杖「ライトケイン」の新たなラインアップとして、折り畳みタイプの販売を開始した。
ハンドル型電動車いす「スマートパルS637」や電動アシスト三輪自転車などの商品を、ユーザーの自宅近くで体験できる無料出張試乗会を設けて売上の獲得を狙う。
(3)インテリア健康事業 −安定的に収益を確保できるビジネスモデルへの転換
かつては結婚を機に、家具のまとめ買いがされた。
現在は、そのような傾向が薄れるとともに、婚姻数自体が減少している。
日本の年間婚姻件数は、団塊の世代が適齢期に達した1972年の婚姻ブーム時に110万件を記録した。
2014年には約64万件まで低下し、ピークから約4割縮小した。
新設住宅着工戸数は、かつて年間で160万戸を超えていたが、現在は100万戸を割れており、2025年には60万戸台を予想している調査機関もある。
家具小売業の事業所数は、かつて3万以上あったが、3分の1程度へ減少した。
一方、店舗が大型化しており、製造小売(SPA)がシェアを拡大している。
同社は、プレゼンテーションスタジオを全国に11ヵ所設けて、家具店舗に展示される機会の少ない高級家具の展示スペースを確保している。
大手小売企業と取引があるものの、全国にある中小家具店が主要な取引先であったことから、市場の変化からの打撃を受けた。
そのため、量から質への転換を図り、他社との差別化によって安定的な収益の獲得をめざす。
多品種少量生産に対応した受注生産方式を推進することで、在庫の削減と利益率の改善を図る。
インテリア商材のなかでも内製化率が高いマットレスは比較的納期が短い。
東洋紡と共同開発した新素材「ブレスエアーエクストラ」を採用し、快適な睡眠を提供する「新リハテックマットレスRH-BAE」の販売に注力している。
女性をターゲットに開発した“柔らかい”のに“寝返りしやすい”「クラウディア(Cloudia)マットレス」を発売し、新たなニーズの獲得に努めている。
ベッドは、グラフィックアートテクノロジーといった新技術、ニットや特殊突板ボードといった新素材を活用した独創的な新デザインの高付加価値商品にフォーカスしている。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催などに向けて増加しているシティホテル等の法人需要に対して、営業体制を強化した。
客室ベッドの入替案件など、受注が増加傾向にある。
訪日外国人旅行者は年間2千万人に達しようとしているが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け増加傾向が期待される。
○デイサービス事業
2010年に、介護保険利用者を対象とした「悠悠いきいき倶楽部」という名称の介護予防通所介護施設を開設した。
その後は、フランチャイズ展開をしたこともあり、直営及びフランチャイズ施設が延べ27ヵ所にまで拡大した。
事業の選択と集中の一環として、2016年7月にデイサービス事業を分割し、専業の(株)ミストラルサービスに事業譲渡した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)