ドル/円
正午現在 85.76/79 1.2798/00 109.77/79
午前9時現在 85.44/49 1.2795/98 109.37/42
NY17時現在 85.38/42 1.2853/59 109.82/86
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[東京 19日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比
べドル高の85円後半。日銀がきょうにも追加緩和を実施するとの憶測が短期筋を中心に
広がり、円売りが進んだほか、ギリシャ経済が深刻な景気低迷に陥っているとの独紙報道
を受けたユーロ売り/ドル買いが、ドル/円にも波及し、ドルの底堅さを演出した。
早朝の市場では、19日付産経新聞朝刊が、日銀が追加の金融緩和策の検討に着手する
と報じたことが話題となった。 「この報道に尾ひれが付き、きょうの午後にも日銀が緊
急政策決定会合で追加緩和を決めるという噂が広がったが、噂は出所不明で、朝方からド
ル買いをしていたヘッジファンドのポジション・トークだろう」(ファンド・マネージャ
ー)という。
ドルは一時85.81円まで上昇、ユーロ/円は109.89円付近まで上値を伸ばし
た。86円ちょうどには短期筋の損失確定のドル買い戻しオーダーがあるとされ、「噂を
きっかけにファンド勢が86円を目指して買い上がったが、手前で折り返した」(外銀)
という。
産経新聞によると、日銀が昨年12月に導入した新型オペ(固定金利で年0.1%、期
間3カ月)の拡充が有力で、規模を現在の20兆円から30兆円に増やす案が浮上、期間
を6カ月に伸ばす可能性もある、と伝えている。円高・株安に対応するため政府が検討に
入る追加経済対策と並行して、日銀も追加緩和策を検討するという。
市場では、「オペ拡充は市場が予想していた範囲内のもので、サプライズはない」
(外銀)との声も聞かれ、円安効果を疑問視する声も上がっている。
<ユーロ、日米金利差>
ユーロは独シュピーゲル紙の報道を受けて、朝方の高値1.2861ドルから一時
1.2782ドルまで急落した。
「シュピーゲル紙の報道で、欧州金融機関やファンド勢のユーロ売りが進んだ。ユーロ
/円も同時に下がった」(邦銀)という。対ユーロでのドル高は対円にも波及し、ドル/
円の下値を支えた。
独シュピーゲル紙は18日付の電子版で、ギリシャの財政緊縮策は、ギリシャを経済の
落ち込みを招いているとし、店舗閉鎖、税収落ち込み、失業率上昇、労働者のストライキ
の活発化などの事例を挙げた。また、「最悪の事態はこれからやってくる」(アテネ大学
ジバロス教授)との警告を同紙は引用した。
日米金利差はドル/円相場のメインドライバーとなっているが、米10年物国債利回り
2.6380%から小幅低下した。
市場では米国債のバブルの可能性を指摘した米著名経済学者のコラムが話題を呼んだ。
ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのジェレミー・シーゲル教授と、ウィズドム
・ツリー・インクのディレクターのジェレミー・シュウォーツ氏は、18日付のウォール
ストリート・ジャーナルの共同コラムで、米国債は10年前のITバブルと似たようなバ
ブルを膨らませていると指摘し、その崩壊はITバブルの崩壊時より、投資家にとってよ
り深刻な結果を招くと警告した。
財務省が朝方発表したデータによると、本邦投資家は8月8日から8月14日までの週
に、外国の中長期債を2兆1777億円買い越した。前週の買い越しは1兆0409億円
だった。買い越しは今年5月から14週連続となり、累積の買い越し額は
14兆5166億円にのぼる。
現在起きていることは、2000年に起きたことの裏返しで、当時投資家らは成長見通
しに対してあまりにも楽観的だったが、現在は多くの投資家があまりにも悲観的だ、との
見解を両氏は明らかにした。
現在2.8%の10年物米国債利回りが3.15%に上昇すれば、投資家は現在の利回
りと同じだけ損失を被る。さらに利回りが4%まで上昇すれば、投資家のキャピタルロス
は現在の利回りの3倍以上になる、と両氏は指摘した。
(ロイター 森佳子記者)