[東京 24日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で2023年度の事業展望を聞いたところ、リスク要因として約8割が「世界的インフレの継続」、約6割が「世界的な景気後退」を挙げ、海外経済への懸念が上位となった。一方、事業計画で想定するドル/円レートは131─135円程度が約半数を占めた。
調査は3月8日─17日。調査票発送企業は493社、回答社数は252社だった。
23年度のリスク要因(複数回答可)については、「原材料価格上昇など世界的インフレの継続」が82%と最も多く、これに「世界的な景気後退」(59%)、「為替の円安」(35%)、「北朝鮮や台湾海峡などの地政学リスク」(30%)などが続いた。
その他の回答には、原材料や部品、部材の調達に関する指摘が多く、「サプライチェーン(供給網)再構築によるコスト増や調達リスク増加」(化学)、「サプライチェーンの混乱によって部材が手に入りにくい状況」(機械)、「自動車向け半導体の供給不安定」(金属製品)、「電子部品の品不足」(電機)との声が出ていた。
23年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)上昇率の見通しについては「1.6─2.0%程度」が34%と最も多く、これに次いで「2.1─2.5%程度」(22%)、「1.1─1.5%程度」(17%)、「2.6─3.0%程度」(15%)となった。
1月の全国コアCPIが前年同月比4.2%上昇だったことに比べると伸び率はマイルドとなるものの、継続的な物価上昇が見込まれている。2023年の春闘は大手を中心に満額回答が目立ったが、来年以降も物価上昇を上回る賃上げが実施されるか注目される。
23年度の事業計画で想定しているドル/円レートについては、「131─135円程度」が48%と最も多く、「126─130円程度」(21%)と「136─140円程度」(20%)がほぼ同率で続いた。
3月1日時点(136円台)に比べて「緩やかな円高」で推移していくのが望ましいとの回答が約7割を占めた。輸入コストの緩和に関するコメントが多く、「原燃料価格の低下につながってほしいが、大きな乱高下は避けたい」(化学)、「輸入品を中心としたコストプッシュによる仕入れ値の急激な上昇を是正できるため」(小売)、「エネルギーコストや輸入原料コストが下がることが望ましい」(食品)といった声が寄せられた。
(杉山健太郎)