多くのエコノミストは、米国のトランプ次期大統領が経済の成長に拍車をかけ、インフレや金利を押し上げることになると予想している。
同時に、国際的な貿易戦争というリスクが浮上する可能性を指摘。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の調査で、エコノミストは共和党が提唱している減税、インフラ投資に注意深く楽観的であることが分かった。
経済の最大リスクは潜在的な貿易戦争だと指摘。
米国の政権交代で低成長の軌道を打倒することが可能となる。
昨今、共和党議会に対し、民主党大統領で財政策拡大などで意見が食い違い景気回復を促進する措置が行き詰まっていた。
共和党大統領の誕生で共和党議会と協力し、財政措置の実行がより容易となる。
緊縮ではなく、財政拡大時の減税は少なくとも短期的に成長を押し上げる。
インフラ拡大で建設関連の雇用が増え、他のセクターに波及する可能性もある。
トランプ次期大統領は自身の成長政策が国内総生産(GDP)で5%成長を可能にすると訴えた。
財政赤字も成長ペースの加速で税収が増えることで補えると説明。
ただ、エコノミストは1980年、1990年のような年率4%成長は不可能だと見ている。
エコノミストは財政政策の始動で2017年の経済が2.2%、2018年が2.3%成長を予想。
インフレは2017年が2.2%、2018年が2.4%と今後2年間、2%台を維持すると見ている。
2%の持続は2007−2009年の景気後退時前以来。
財政政策が効力を発揮するには時間がかかるため、成長ペースが加速するのは2018年と見ている。
2018年の成長見通しは大統領選挙前から0.25%引き上げられた。
インフレ見通しは0.15%引き上げ。
2018年末の米10年債利回りは従来予想から0.31%引き上げられた。
ただ、トランプ次期政権は大統領首席補佐官を指名したが、組閣でさえまだ始まったばかり。
トランプ氏が掲げている政策には議会の承認も必要となるなど、規模や実現するかどうかも現時点で不透明。
貿易や移民制限が成長抑制のリスクともなり得る。
年内は成長期待感に金融市場やドルの急伸が予想されるが、来年からは現実を見据えた展開に転じていくと見る。