[ワシントン 9日 ロイター] - 米議会上院で9日に開かれた中国の偵察気球を巡る公聴会で、米領空内に入ったと確認された直後に撃墜しなかったことについて、バイデン政権と米軍に対する非難が民主、共和両党の議員から相次いだ。
米国防総省関係者によると、問題の気球は1月28日に米国の防空識別圏に入り、カナダ領空を通過した後に31日に再び米領空に入った。その後、2月4日にオースティン国防長官が米軍が同気球をサウスカロライナ州沖で撃墜したと発表した。
偵察気球を直ちに撃墜しなかったことについて、ジョン・テスター議員(民主、モンタナ州)は「理解できない」と批判。リサ・マコウスキー議員(共和、アラスカ州)は、ロシアと中国に近いアラスカ州は米国の第一の防衛線だとし、偵察気球がアラスカ州上空を出た後、カナダから米国本土に向かってからかなりの時間が経過してから初めてバイデン大統領に領空侵犯が報告されたことの理由が知りたいと述べた。
スーザン・コリンズ議員(共和、メイン州)は、偵察気球が米上空を通過することを容認したことで、中国のほか、米国に敵対する勢力に誤ったメッセージを送ったと非難。気球が機密軍事基地などの上空を通過したことで「米国の抑止力は弱まった」と述べた。
公聴会には国防総省当局者も出席。メリッサ・ダルトン国防次官補は「気球がどこを通過しているか把握していたため、機密通信や特定の施設などをプロトコルに従って保護する措置を取った」と述べた。
これとは別に下院はこの日、偵察気球の侵入を「米国の主権に対する大胆な侵害」と非難する決議を全会一致で採択した。
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