英国の金融行為監督機構(FCA)は23日、仮想通貨の規制方針を説明する政策の原案として「暗号資産の手引き」を公表した。
4月5日までに同原案に対する意見を受けつけ、その後最終的な規制方針を発表するとみられている。
FCAは昨年10月、英国中央銀行による仮想通貨タスクフォースによる報告書を公表しており、その中で、仮想通貨のCFDのような全ての派生商品の販売を禁止するなどの劇的な策を検討していることを明らかにしていた。
今回公表された仮想通貨規制の原案は、この勧告に即した規制法案であり、暗号資産がどのような商品にあたり、FCAの管轄下となるのか否かを明確にすることを目的にしているとみられる。
この手引書のなかで、FCAは仮想通貨について交換トークン、セキュリティトークン、ユーティリティトークンという3つの観点で説明している。
以前よりFCAは仮想通貨のICO(仮想通貨技術を利用した資金調達)で発行されるトークンは金融商品に含まれるとしており、EUにおいて2018年1月から施行されている金融改革の一部として導入された「第二次金融商品市場指令(MiFID2)」の適用を受けるとしていた。
手引書によると、交換トークンについては、仮想通貨自体がイギリスの法律で通貨として定義されていないため、大半はFCAによる規制の対象外となることが予想されている。
ただし、法定通貨とペッグされたステーブルコイン(価格安定型通貨)については、電子マネーとみなされた場合は規制対象となるという。
セキュリティトークンについては、「有価証券」に該当するため、規制対象内となる可能性が高いとしている。
また、ユーティリティトークンは、あるサービスへアクセスするために使用するトークンのことで、有価証券に該当しないため、規制の対象外となる。
だが、ステーブルコイン同様に、電子マネーと位置づけられる場合は、その状況によって規制の対象内となる場合もあるようだ。
FCAは昨年3月、米国の仮想通貨取引所でウォレットサービスを提供するコインベースにライセンスを許可している。
また、同年8月には、仮想通貨関連のカード支払い会社であるWirexに対し、電子マネーライセンスを許可した。
Wirexの主要製品は仮想通貨から法的通貨に変換できるプリペイドのデビットカードである。
英国当局はフィンテックや仮想通貨の革新を支援すると同時に、国民に対して、仮想セクターでの不正の危険性に警戒するよう警告している。
FCAの規制が最終的にどのように明確化されるのか、今後の動向が注目される。