[ワシントン 16日 ロイター] - バイデン大統領とその側近らは、2024年大統領選への出馬を表明したトランプ前米大統領について「脆弱で敗北した政治家」と見ており、苦しい選挙戦が米国に与える影響を懸念しながらも、バイデン氏による2期目続投を支援する可能性が高いとみていることが分かった。バイデン氏の側近や顧問が匿名で述べた。
トランプ前米大統領は15日、フロリダ州の邸宅マール・ア・ラーゴで演説し、24年大統領選に出馬すると表明した。通常より早い立候補の表明で共和党の他の有力候補の出馬機運をそぎ、候補者指名争いを有利に運ぼうというのが狙いとみられる。
トランプ氏の出馬表明について、バイデン氏は現時点で公の場でコメントしていない。インドネシア・バリ島で開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)での記者会見でトランプ氏の出馬表明について問われた際には、同席していたフランスのマクロン大統領と一瞬顔を見合わせ、かすかな笑みを浮かべて「特にない」と答えている。
バイデン氏の側近らはトランプ氏について、民主党を支持する有権者を投票に向かわせ、無党派層にはトランプ氏自身の大統領時代を取り巻く混乱と混迷を想起させる、脆弱で敗北した人物と表現。また、トランプ氏が20年の大統領選挙は広範囲な不正投票によって「盗まれた」と主張し、これが21年1月6日のトランプ氏支持派による米議会議事堂襲撃事件につながったことから、トランプ氏を米民主主義に対する脅威として捉えているという。
民主党幹部は「トランプ氏は候補者の中で最も脆弱であることは間違いないが、負担がもたらされることをホワイトハウスは痛感している」と述べた。
バイデン氏の別の顧問は、トランプ氏やトランプ氏の共和党指導部への影響力を過小評価しないことが重要だと指摘。トランプ氏は過去に何度も見放されたが、結局は再び力をつけ復活しているとした。
すでに米大統領として最高齢で、11月20日に80歳となるバイデン氏は再選を目指すかどうかを正式に表明していない。トランプ氏は76歳。ロイター/イプソスの世論調査によると、米国民の大半は大統領選出馬の上限年齢として75歳を望んでいる。