■要約MRKホールディングスの前身であるマルコ株式会社は1978年創業の日本で初めて女性用体型補整下着を完成させた業界のリーディングカンパニー2018年10月に持株会社体制に移行し、『美の総合総社』を目指して体型補整下着に加えてマタニティウエアやベビー用品、化粧品・健康食品など、商品・サービスの新規展開に注力している1. 10月以降は基幹商品の生産体制が整い、第3四半期単独期間では営業利益の黒字転換を達成同社の2019年3月期第3四半期(累計)決算は、売上高13,353百万円(前年同期比26.8%増)、営業損失153百万円(前年同期は393百万円の利益)と前年同期から大幅減益となったこれは、当第2四半期(累計)において、基幹シリーズの新製品『Curvaceous(以下、カーヴィシャス)』の拡販で大幅増益を計画して臨んだが、生産遅延によって多額の機会損失が発生したさらに顧客のつなぎ止め策として旧製品の値引き販売をした結果、売上総利益率が低下したことにより、営業損失519百万円(前年同期は514百万円の利益)と大幅減益となったことが要因となっているしかし第3四半期は生産体制が整った状態でスタートできたため、『カーヴィシャス』を中心に需要をしっかりと取り込み、収益の拡大に繋げることが出来た第3四半期単独期間(10-12月期)の業績は、売上高4,734百万円(前年同期比47.2%増)、営業利益366百万円(前年同期は121百万円の損失)と大幅な増収増益となり、10-12月期として10年ぶりの営業黒字を達成するとともに同期間としての過去最高を更新した2. 新中期経営計画『MAP2020』を策定足元は店舗の新規出店と移転・改装に注力中期成長戦略として同社は新中期経営計画『MAP2020』を策定し、取り組んでいる当初、成長戦略は既存事業の成長と新規事業の展開の2つで構成されていたが、RIZAPグループ
として新規M&Aの原則凍結が打ち出されたこともあり、現在は既存中核事業の体型補整下着事業の拡大に注力している具体的には新規出店の加速と既存店舗の移転・改装だ新規出店ではターミナル駅や、かつて店舗があった(すなわち固定客がいる)土地への再出店を中心に進めている移転・改装の主眼は“事務所からサロンへ”という顧客目線での店づくりだ2019年3月期下期の収益急回復にはこうした店舗戦略も貢献したもようで、同社は2020年3月期以降も新規・改装を一定ペースで着実に実施する方針だ3. 2020年3月期以降の安定的黒字確保と持続的成長の実現に期待が高まる2019年3月期第3四半期単独期間において製品力・ブランド力を活かして着実に収益を拡大させたことで、2019年3月期通期の業績予想の達成の確度は大きく高まった今後投資家の視点は2020年3月期以降、同社の業績がどのように推移していくかに移行しよう上述のように同社は『MAP2020』の一環で店舗の移転・改装に積極的に取り組んでいるまた同社の補整用婦人下着のサイクルは約4~5年であることに照らすと、2020年3月期以降、黒字を維持していくことは十分可能で、年を追ってその水準も着実に拡大させることが出来ると考えているただ、そのペースについては“急成長”というよりは“緩やかながら着実”といったものを弊社ではイメージしている200を超える店舗の移転・改装には一定の時間を要することに加え、認知度向上のためのメディアプロモーションなどを今後も継続する必要があるためだ1年だけの急成長なら可能だが、同社が目指すのは持続的成長であり、そのためには収益成長と投資の高次元でのバランス取りが要求されよう■Key Points・第3四半期単独期間で営業利益の黒字転換を達成通期営業利益の黒字化に大きく前進・コスト削減のステージから、『美の総合総社』を掲げトップライングロースを目指すステージに移行・マルコ事業において店舗展開と商品展開が順調に進捗(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)