アイル Research Memo(6):2025年7月期中間期の売上高と営業利益は過去最高

発行済 2025-04-16 12:06
更新済 2025-04-16 12:15
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*12:06JST アイル Research Memo(6):2025年7月期中間期の売上高と営業利益は過去最高 ■アイル (TYO:3854)の業績動向

1. 2025年7月期中間期の連結業績概要
2025年7月期第中間期の連結業績は売上高が前年同期比7.8%増の9,242百万円、営業利益が同1.0%増の2,260百万円、経常利益が同0.6%減の2,235百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同3.2%増の1,537百万円だった。
前期のサーバー入替特需の想定以上の反動減、人材採用や賃上げなど持続的な成長投資の影響で計画(2024年9月6日付の期初公表値、売上高9,333百万円、営業利益2,356百万円、経常利益2,367百万円、親会社株主に帰属する中間純利益1,595百万円)を下回ったが、中堅・中小企業におけるDX需要を着実に取り込み、売上高と営業利益は中間期として過去最高だった。
ストック売上高は同14.9%増の4,015百万円、ストック売上総利益は同12.2%増の2,337百万円、ストック売上総利益率は同1.4ポイント低下して58.2%、ストック売上総利益の販管費カバー率は同2.1ポイント上昇して81.8%となった。
ストック売上総利益率は若干低下したものの、システムソリューション事業におけるシステムの大型化に伴う月額保守料増加やクラウド商材導入増加、CROSS事業の安定成長により、ストック売上総利益の販管費カバー率は80%を超えた。


売上総利益は同5.5%増加したが、売上総利益率は人件費増加やクラウド関連仕入価格上昇などの影響で同1.2ポイント低下して55.4%となった。
ただし四半期別に見ると第1四半期の54.6%に対して、第2四半期は2024年10月からのクラウド月額利用料値上げ効果も寄与して56.1%に上昇した。
販管費は人件費増加などで同9.3%増加し、販管費比率は同0.4ポイント上昇して30.9%となった。
この結果、営業利益率は同1.6ポイント低下して24.5%となった。
営業利益21百万円増益の増減要因は、システムソリューション事業の売上総利益256百万円増、Webソリューション事業の売上総利益9百万円増、人件費(販管費分)増加で157百万円減、その他販管費増加で86百万円減だった。
総人件費(原価+販管費)は継続的な人事制度見直しと社員数増加により同11.6%増加(原価分が同15.3%増加、販管費分が同8.4%増加)した。
その他販管費ではTVCMや展示会出展により広告宣伝費・販促費が増加、パートナー企業からの案件増加に伴い紹介手数料が増加、採用活動強化により採用費が増加した。
なお経常利益は営業外費用に一時的費用となる株式需給緩衝信託(R)設定手数料を計上したため小幅減益だった。
親会社株主に帰属する中間純利益は税金費用の減少により増益だった。



システムソリューション事業の成長が継続

2. 事業別の動向
(1) システムソリューション事業
システムソリューション事業は売上高が同8.6%増の8,124百万円、売上総利益が同6.0%増の4,554百万円、売上総利益率が同1.4ポイント低下して56.1%となった。
メーカー保守終了に伴う前期のサーバー機器入替特需の反動減が想定以上だったため設定などの役務を含むハード関連売上が計画未達だったものの、システム開発関連が中堅・中小企業のDX需要を着実に取り込んでおおむね計画水準で推移し、全体として増収増益と成長を継続した。
売上総利益率は低下したが、第1四半期の55.0%に対して第2四半期は57.0%と2.0ポイント改善した。
製販一体体制をはじめとした継続的な利益向上施策、パートナー企業からの紹介による大型案件増加に加え、2024年10月からのクラウド月額利用料値上げによって仕入価格上昇を吸収したことも寄与した。
受注は大型案件を中心とする新規顧客獲得も寄与して過去最高を更新中である。
2017年7月期中間期実績を100とする受注高指数は、2025年7月期中間期にイニシャルが165、ストックが191で、いずれも過去最高となった。


(2) Webソリューション事業
Webソリューション事業は売上高が同2.5%増の1,117百万円、売上総利益が同1.6%増の564百万円、売上総利益率が同0.4ポイント低下して50.5%となった。
その他Web事業はECサイト制作の縮小で減収減益となったが、CROSS事業は新規顧客獲得と単価上昇などで売上高が同5.8%増の854百万円、売上総利益が同5.4%増の487百万円、売上総利益率が同0.2ポイント低下して57.0%とおおむね計画水準で順調に成長した。
EC消費行動の変化により小規模EC事業者には事業縮小や撤退を行う動きが見られたが、この対策として中堅・大企業へのアプローチを強化して大型案件獲得に努めた。



財務の健全性を維持、一時的要因は期末に解消

3. 財務の状況
財務面で見ると、2025年7月期中間期末の資産合計は2024年7月期末比335百万円減少して13,818百万円、負債合計は1,990百万円増加して6,463百万円、純資産合計は2,326百万円減少して7,354百万円、自己資本比率は15.2ポイント低下して53.2%となった。


なお、同社の代表取締役社長で主要株主でもある岩本哲夫(いわもとてつお)氏より保有株式の一部売却の要請を受け、2024年12月6日付で株式需給緩衝信託(R)を設定(信託期間2024年12月6日~2025年7月31日予定、取得株数の上限1,250,000株、取得価額総額の上限4,500百万円)し、同社が拠出する資金を原資として同年12月9日の東証の立会外終値取引(ToSTNeT-2)により同社株式1,250,000株を取得した。
その後、同社株式の市場需給に与える影響を極力回避する方法で同社株式を売却する。
本信託が取得した同社株式は信託期間内に売却され、売却代金はあらかじめ定めるタイミングで定期的に同社へ分配される。
本信託は同社を受益者とする自益信託のため会計処理においては自己株式として扱い、株価上昇により処分差益が生じた場合はその他資本剰余金(純資産)の増加、株価下落により処分差損が生じた場合はその他資本剰余金(純資産)の減少となる。
この株式需給緩衝信託(R)の設定により、2025年7月期第2四半期末時点においては流動資産で現金及び預金が154百万円減少、流動負債で短期借入金が2,190百万円増加、純資産で自己株式(減算)が3,088百万円増加した。
その結果として自己資本比率が15.2ポイント低下したが、この一時的要因は2025年7月期末時点では解消される。
これを除けば特に懸念材料は見当たらず、財務の健全性が維持されていると弊社では評価している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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