今日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想したい。
前日発表された米国のトランプ政権による減税案は実行可能性に不安が残され、ドルは買いにくい見通し。
ただ、欧州中央銀行(ECB)の出口戦略模索への思惑から、ユーロ・円が買われやすく、ドル・円も連れ高気味になる可能性がある。
米国政府は26日、連邦法人税率の35%から15%への大幅引き下げを柱とした税制改正案を発表した。
トランプ政権は5月中に議会側と詳細を詰めたうえで、6月以降により具体的な内容の改正案を公表する意向。
トランプ大統領は減税政策を政権の目玉としたい考えに変わりはないが、財政赤字をより膨らませることになりかねないため慎重に取り扱っている。
ただ、財源が明示されず、実行性には不透明感が残されている。
市場は詳細に踏み込んだ内容を期待していたわけではなかったため、前日発表された改正案に対する失望感は限定的だったものの、積極的なドル買いを手控える地合いが目先も続きそうだ。
今晩は、欧州中央銀行(ECB)理事会やその後のドラギECB総裁の記者会見が注目される。
現行の金融政策を据え置く公算だが、足元のユーロ圏経済の回復のほか、仏大統領選では第1回投票の結果から中道系候補の当選が予想され、欧州政治リスクが後退したとの見方が、出口戦略模索への思惑につながっている。
金融緩和解除に向けた何らかの示唆がみられれば、ユーロ・円の買い戻しが強まると予想され、ドル・円も連れ高気味になる展開がイメージされる。
(吉池 威)
【今日の欧米市場の予定】
・20:45 欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表(0.00%に据え置き予想)
・21:00 独・4月消費者物価指数速報値(前年比予想:+1.9%、3月:+1.6%)
・21:30 ドラギECB総裁会見
・21:30 米・3月耐久財受注(前月比予想:+1.3%、2月:+1.8%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:24.5万件、前回:24.4万件)
・21:30 米・3月卸売在庫(前月比予想:+0.2%、2月:+0.4%)
・23:00 米・3月中古住宅販売成約指数(前月比予想:-1.0%、2月:+5.5%)
・02:00 米国7年債入札(280億ドル)