■中期経営計画と成長戦略
2. ファスニング事業の進捗状況と今後の取組み
ファスニング事業における最大の目標は、インフラ・土木分野におけるあと施工アンカー需要の拡大だ。
あと施工アンカーはこれまで、主として建築分野、すなわち建物・構造物の分野での需要によって成長してきた。
しかしながら、“建設業界”には土木分野も存在している。
ここを取り込むことができれば、市場規模は倍増し、何よりも、土木と建築の需要サイクルの違いにより、あと施工アンカー需要の平たん化が期待できる。
これに対するサンコーテクノ (T:3435)の取組みは周到だ。
前述のように、最初の2年間はチーム人財力アップと現場力アップの2つに取り組んできた。
現場力アップの点では、インフラ・土木分野の需要がいざ動き出した時を見据え、製造能力の拡充に努めた。
具体的には、タイ工場ではコスト競争力強化と安定供給能力の拡大が、野田工場では多品種・小ロット対応力強化がそれぞれ図られた。
チーム人財力の点では、様々な点で個々の人材の意識改革などが行われたが、特に注目されるのは営業に対する考え方の変革と実践だ。
同社のあと施工アンカーは問屋・商社を経由して工事現場に届けられる。
これまで同社の営業担当者は流通面を相手に営業を行っていた。
しかし、同社製品の需要を決するのは問屋や商社ではなく、ゼネコンや工事現場の担当者であることが基本だ。
そこで同社は、営業担当者が工事現場やゼネコンなどを訪問し、直接PRすることにも力を入れている。
また、あと施工アンカーを単体で売り込むのではなく、施工方法や検査も含めて提案する形へと変更した。
それを推進するために開発・営業・工事の各担当者を集めて約40人体制の「エンジニアリング本部」を創設した。
2018年3月期からは営業改革に注力する方針だ。
営業改革は前述したエンジニアリング本部創設も含めて既に着手していることではあるが、それを一段と徹底していくことを意図しているというのが弊社の理解だ。
同社の「安定成長の実現」の大きな要素をインフラ・土木分野での需要拡大が占めている以上、営業改革は避けて通れない。
土木分野においてはあと施工アンカーの認知度が建築分野に比べて低く、ユーザー側があと施工アンカーを探し出して買いに来るという状況にはまだ至っていないためだ。
これまでも同社は、同社が有するワンサイドファスニング(片面締結)の高い技術力を生かして、ゼネコンやユーザー企業との共同開発などを行ってきている。
それらの実績を生かして今後もゼネコン等への設計段階での提案や、ユーザーへのソリューション提案、産学連携による技術力強化などを進めて市場開拓・収益拡大へとつなげる方針だ。
今後の深耕と、成果の発現を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2. ファスニング事業の進捗状況と今後の取組み
ファスニング事業における最大の目標は、インフラ・土木分野におけるあと施工アンカー需要の拡大だ。
あと施工アンカーはこれまで、主として建築分野、すなわち建物・構造物の分野での需要によって成長してきた。
しかしながら、“建設業界”には土木分野も存在している。
ここを取り込むことができれば、市場規模は倍増し、何よりも、土木と建築の需要サイクルの違いにより、あと施工アンカー需要の平たん化が期待できる。
これに対するサンコーテクノ (T:3435)の取組みは周到だ。
前述のように、最初の2年間はチーム人財力アップと現場力アップの2つに取り組んできた。
現場力アップの点では、インフラ・土木分野の需要がいざ動き出した時を見据え、製造能力の拡充に努めた。
具体的には、タイ工場ではコスト競争力強化と安定供給能力の拡大が、野田工場では多品種・小ロット対応力強化がそれぞれ図られた。
チーム人財力の点では、様々な点で個々の人材の意識改革などが行われたが、特に注目されるのは営業に対する考え方の変革と実践だ。
同社のあと施工アンカーは問屋・商社を経由して工事現場に届けられる。
これまで同社の営業担当者は流通面を相手に営業を行っていた。
しかし、同社製品の需要を決するのは問屋や商社ではなく、ゼネコンや工事現場の担当者であることが基本だ。
そこで同社は、営業担当者が工事現場やゼネコンなどを訪問し、直接PRすることにも力を入れている。
また、あと施工アンカーを単体で売り込むのではなく、施工方法や検査も含めて提案する形へと変更した。
それを推進するために開発・営業・工事の各担当者を集めて約40人体制の「エンジニアリング本部」を創設した。
2018年3月期からは営業改革に注力する方針だ。
営業改革は前述したエンジニアリング本部創設も含めて既に着手していることではあるが、それを一段と徹底していくことを意図しているというのが弊社の理解だ。
同社の「安定成長の実現」の大きな要素をインフラ・土木分野での需要拡大が占めている以上、営業改革は避けて通れない。
土木分野においてはあと施工アンカーの認知度が建築分野に比べて低く、ユーザー側があと施工アンカーを探し出して買いに来るという状況にはまだ至っていないためだ。
これまでも同社は、同社が有するワンサイドファスニング(片面締結)の高い技術力を生かして、ゼネコンやユーザー企業との共同開発などを行ってきている。
それらの実績を生かして今後もゼネコン等への設計段階での提案や、ユーザーへのソリューション提案、産学連携による技術力強化などを進めて市場開拓・収益拡大へとつなげる方針だ。
今後の深耕と、成果の発現を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)