【先週の概況】
■ドルは下げ渋り、年内2回の米追加利上げへの期待残る
先週のドル・円は下げ渋り。
リスク回避の円買いが強まる局面があったが、8月の米消費者信頼感指数が悪化予想に反して2000年10月以来では最高水準となったこと、4-6月期GDP改定値は上方修正されたことから、年内2回の米追加利上げ実施への思惑は後退しなかった。
トランプ大統領は9月初旬にも2000億ドル規模の中国製品への関税発動を支持するとの報道で米中貿易摩擦激化への懸念が高まったことや、新興国通貨安に対する市場の警戒感は消えていないことから、リスク回避の円買いが観測されたが、米長期金利は下げ渋り、日米の株式は底堅い動きを見せたことから、リスク回避のドル買い・円売りは拡大しなかった。
8月31日のニューヨーク市場では、米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る協議で合意が成立しなかったことから、ドル・円は一時110円69銭まで下げた。
しかしながら、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が「協議は建設的、進展も見られる」とし、9月5日に協議再開が決まったことから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小し、ドル・円は111円12銭でこの週の取引を終えた。
先週のドル・円の取引レンジは110円69銭から111円83銭となった。
ドル・円の取引レンジ:110円69銭−111円83銭。
【今週の見通し】
■底堅い展開か、9月追加利上げを想定して米経済指標内容を点検へ
今週のドル・円は底堅い展開か。
米連邦準備制度理事会(FRB)が9月25-26日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げをにらんで、米国経済指標を点検する展開となりそうだ。
トランプ米大統領は、今週中にも2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向であり、米中貿易摩擦は激しさを増すと懸念されているが、米国とカナダの貿易協議は今週5日に再開されることから、米国、カナダ、メキシコの3国による貿易協定締結への期待は持続しており、リスク回避的なドル売りがただちに広がる状況ではないとみられる。
8月24日の米ジャクソンホールでの講演で、パウエルFRB議長は好調な経済を背景に目先の引き締めに積極的な姿勢を示した。
8月29日に発表された4-6月期米国内総生産(GDP)改定値の堅調な内容はそうした見方が妥当であることを示唆しており、米国経済の成長鈍化を見込んだリスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。
新興国通貨安に対する市場の警戒感は残されているものの、国際通貨基金(IMF)は「アルゼンチンの経済プログラム強化に向け政府当局と緊密に協力している」と表明しており、IMFによる金融支援実施の環境がすみやかに整備された場合、トルコリラ、南アランドなどの新興国通貨安は一服するとの見方が出ていることは、リスク回避の円買いを抑制する一因となる。
7日に発表される8月雇用統計など経済指標は、9月と12月の追加利上げに向けた有力な手がかりとみられる。
予想とおおむね一致した場合、年内2回の追加利上げを想定してドルは底堅い動きとなる見通し。
5日に再開される米国とカナダの貿易協議で合意形成への期待は持続していることもドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月4日発表予定)
9月4日発表予定の8月米ISM製造業景況指数は57.6と、7月の58.1を下回る見通し。
6月実績の60.2を下回るものの、相対的に高い水準を維持するとみられており、市場予想と一致すれば、ドル売り材料にはならないとみられる。
【米・8月雇用統計】(9月7日発表予定)
9月7日発表予定の8月米雇用統計は、失業率3.9%(前回3.9%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.1万人(同+15.7万人)、平均時給は前年比+2.8%(同+2.7%)が市場コンセンサス。
市場予想に沿った内容なら9月と12月の利上げ観測は後退せず、ドルは底堅い動きを見せる可能性がある。
予想レンジ:110円00銭−113円00銭
■ドルは下げ渋り、年内2回の米追加利上げへの期待残る
先週のドル・円は下げ渋り。
リスク回避の円買いが強まる局面があったが、8月の米消費者信頼感指数が悪化予想に反して2000年10月以来では最高水準となったこと、4-6月期GDP改定値は上方修正されたことから、年内2回の米追加利上げ実施への思惑は後退しなかった。
トランプ大統領は9月初旬にも2000億ドル規模の中国製品への関税発動を支持するとの報道で米中貿易摩擦激化への懸念が高まったことや、新興国通貨安に対する市場の警戒感は消えていないことから、リスク回避の円買いが観測されたが、米長期金利は下げ渋り、日米の株式は底堅い動きを見せたことから、リスク回避のドル買い・円売りは拡大しなかった。
8月31日のニューヨーク市場では、米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る協議で合意が成立しなかったことから、ドル・円は一時110円69銭まで下げた。
しかしながら、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が「協議は建設的、進展も見られる」とし、9月5日に協議再開が決まったことから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小し、ドル・円は111円12銭でこの週の取引を終えた。
先週のドル・円の取引レンジは110円69銭から111円83銭となった。
ドル・円の取引レンジ:110円69銭−111円83銭。
【今週の見通し】
■底堅い展開か、9月追加利上げを想定して米経済指標内容を点検へ
今週のドル・円は底堅い展開か。
米連邦準備制度理事会(FRB)が9月25-26日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げをにらんで、米国経済指標を点検する展開となりそうだ。
トランプ米大統領は、今週中にも2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向であり、米中貿易摩擦は激しさを増すと懸念されているが、米国とカナダの貿易協議は今週5日に再開されることから、米国、カナダ、メキシコの3国による貿易協定締結への期待は持続しており、リスク回避的なドル売りがただちに広がる状況ではないとみられる。
8月24日の米ジャクソンホールでの講演で、パウエルFRB議長は好調な経済を背景に目先の引き締めに積極的な姿勢を示した。
8月29日に発表された4-6月期米国内総生産(GDP)改定値の堅調な内容はそうした見方が妥当であることを示唆しており、米国経済の成長鈍化を見込んだリスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。
新興国通貨安に対する市場の警戒感は残されているものの、国際通貨基金(IMF)は「アルゼンチンの経済プログラム強化に向け政府当局と緊密に協力している」と表明しており、IMFによる金融支援実施の環境がすみやかに整備された場合、トルコリラ、南アランドなどの新興国通貨安は一服するとの見方が出ていることは、リスク回避の円買いを抑制する一因となる。
7日に発表される8月雇用統計など経済指標は、9月と12月の追加利上げに向けた有力な手がかりとみられる。
予想とおおむね一致した場合、年内2回の追加利上げを想定してドルは底堅い動きとなる見通し。
5日に再開される米国とカナダの貿易協議で合意形成への期待は持続していることもドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月4日発表予定)
9月4日発表予定の8月米ISM製造業景況指数は57.6と、7月の58.1を下回る見通し。
6月実績の60.2を下回るものの、相対的に高い水準を維持するとみられており、市場予想と一致すれば、ドル売り材料にはならないとみられる。
【米・8月雇用統計】(9月7日発表予定)
9月7日発表予定の8月米雇用統計は、失業率3.9%(前回3.9%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.1万人(同+15.7万人)、平均時給は前年比+2.8%(同+2.7%)が市場コンセンサス。
市場予想に沿った内容なら9月と12月の利上げ観測は後退せず、ドルは底堅い動きを見せる可能性がある。
予想レンジ:110円00銭−113円00銭