■業績動向
3. 中期経営戦略の取り組み状況
サイオス (T:3744)は中期経営戦略の基本方針として、「FinTechを含む新たな領域での新規事業創出」「継続的な研究開発投資」「コアビジネスの競争力強化」を掲げており、2018年12月期は以下の施策に取り組んでいる。
(1) FinTechを含む新たな領域での新規事業創出
新規事業創出への取り組みとして、2018年3月にバイオサイエンス分野のベンチャー企業であるレリクサとの資本業務提携を発表した。
レリクサは2015年に設立された東京大学発のベンチャーで、大学や研究機関、製薬会社、遺伝子研究を行う企業等から、ゲノム・エピゲノムに関する実験・解析業務を受託している。
レリクサではこれまで蓄積してきたエピゲノム解析データと解析アルゴリズムを汎用的に利用できるよう解析プラットフォームの立ち上げを検討しており、その開発を同社の技術開発力を生かして共同で行っていく。
同社ではエピゲノム解析プラットフォームの開発を足掛かりとして、バイオサイエンス領域における事業展開・拡大を目指していく考えだ。
(2) 継続的な研究開発投資
研究開発投資に関する取組みとして、2018年6月に米子会社のSIOS Technology Corp.がサウスカロライナ大学の工学・コンピュータ学部内にR&Dセンターを開設した。
従前の研究開発拠点を閉鎖し、同大学内へ移転した。
大学で最先端のAI技術を学生、教授らとともに共同で研究開発し、新技術・サービスの開発につなげていくほか、優秀な人材の獲得も進めていく。
(3) コアビジネスの競争力強化
コアビジネスの競争力強化に関しては、クラウドにおける運用自動化サービス(監視・自動復旧サービス)「SIOS Coati」の新バージョンを開発、2018年8月にリリースしたほか、MFP向けソフトウェア製品の新製品投入などの取り組みを進めている。
「SIOS Coati」は2017年2月に開始したサービスで、AWS(アマゾンウェブサービス)を利用する企業に対して、システム障害の自動検知・復旧から障害発生レポートの作成までを自動化し、クラウドの運用コスト削減を実現するサービスとなる。
現在、クラウドシステム障害時の検知・復旧対応策については、システム監視ツール導入による24時間体制での監視、及び復旧作業は社内担当者を配置または外部の専門事業者に委託するケースが大半だが、「SIOS Coati」を導入することでこうしたコストの大幅な削減が可能となる。
今回発表した新バージョンでは、サーバーレスアーキテクチャーを採用したことでセキュアな保守管理が容易となり低コスト化を実現したほか、顧客の運用実態に合わせた細かな設定機能※1を設けたことで利便性を大幅に向上させている。
また、導入を容易にするためフリーミアムモデル※2でのサービス提供としており、今後の導入契約数増加による収益貢献が期待される。
※1 監視対象の範囲や内容、障害検知後の復旧動作の内容、障害対応レポートの送信タイミングなどを個別にモード選択できるようにしたほか、設定作業を簡単に行えるよう設定画面を刷新した。
※2 機能を制限した無償版(利用期間無制限)を利用して頂き、お客様の希望により機能が充実した有償版に移行できるサービス形態のこと。
4. 財務状況
2018年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比199百万円増加の5,049百万円となった。
主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が62百万円、仕掛品が66百万円それぞれ増加した。
一方、固定資産では有形固定資産が50百万円増加した。
負債合計は前期末比129百万円増加の3,902百万円となった。
有利子負債が116百万円、未払法人税等が76百万円減少した一方で、前受金が288百万円、買掛金が96百万円増加した。
また、純資産合計は70百万円増加の1,147百万円となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益79百万円を計上したことによる。
経営指標を見ると、自己資本比率が前期末の21.5%から22.0%と若干上昇し、有利子負債比率が82.6%から67.2%に低下するなど財務体質の改善が進んでいる。
有利子負債の削減が順調に進んでいることが要因だ。
とはいえ、自己資本比率の水準はまだ低く、今後、収益拡大によって自己資本をさらに引き上げていく方針となっている。
現状は、将来の成長を見据えた研究開発投資を積極的に行う投資フェーズのため、しばらくは緩やかな改善にとどまるものの、新製品・サービスが収益に本格貢献してくると、収益成長が加速化し、財務基盤の拡充も進むものと予想される。
なお、M&A戦略に関しては今後も前向きに検討していく方針に変わりない。
対象となるのは、同社が顧客基盤を持たない業界特化型のシステム開発企業や、シナジーが期待できる最先端テクノロジーのノウハウを持つ企業となる。
M&A資金は手元キャッシュや借入金で賄う方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
3. 中期経営戦略の取り組み状況
サイオス (T:3744)は中期経営戦略の基本方針として、「FinTechを含む新たな領域での新規事業創出」「継続的な研究開発投資」「コアビジネスの競争力強化」を掲げており、2018年12月期は以下の施策に取り組んでいる。
(1) FinTechを含む新たな領域での新規事業創出
新規事業創出への取り組みとして、2018年3月にバイオサイエンス分野のベンチャー企業であるレリクサとの資本業務提携を発表した。
レリクサは2015年に設立された東京大学発のベンチャーで、大学や研究機関、製薬会社、遺伝子研究を行う企業等から、ゲノム・エピゲノムに関する実験・解析業務を受託している。
レリクサではこれまで蓄積してきたエピゲノム解析データと解析アルゴリズムを汎用的に利用できるよう解析プラットフォームの立ち上げを検討しており、その開発を同社の技術開発力を生かして共同で行っていく。
同社ではエピゲノム解析プラットフォームの開発を足掛かりとして、バイオサイエンス領域における事業展開・拡大を目指していく考えだ。
(2) 継続的な研究開発投資
研究開発投資に関する取組みとして、2018年6月に米子会社のSIOS Technology Corp.がサウスカロライナ大学の工学・コンピュータ学部内にR&Dセンターを開設した。
従前の研究開発拠点を閉鎖し、同大学内へ移転した。
大学で最先端のAI技術を学生、教授らとともに共同で研究開発し、新技術・サービスの開発につなげていくほか、優秀な人材の獲得も進めていく。
(3) コアビジネスの競争力強化
コアビジネスの競争力強化に関しては、クラウドにおける運用自動化サービス(監視・自動復旧サービス)「SIOS Coati」の新バージョンを開発、2018年8月にリリースしたほか、MFP向けソフトウェア製品の新製品投入などの取り組みを進めている。
「SIOS Coati」は2017年2月に開始したサービスで、AWS(アマゾンウェブサービス)を利用する企業に対して、システム障害の自動検知・復旧から障害発生レポートの作成までを自動化し、クラウドの運用コスト削減を実現するサービスとなる。
現在、クラウドシステム障害時の検知・復旧対応策については、システム監視ツール導入による24時間体制での監視、及び復旧作業は社内担当者を配置または外部の専門事業者に委託するケースが大半だが、「SIOS Coati」を導入することでこうしたコストの大幅な削減が可能となる。
今回発表した新バージョンでは、サーバーレスアーキテクチャーを採用したことでセキュアな保守管理が容易となり低コスト化を実現したほか、顧客の運用実態に合わせた細かな設定機能※1を設けたことで利便性を大幅に向上させている。
また、導入を容易にするためフリーミアムモデル※2でのサービス提供としており、今後の導入契約数増加による収益貢献が期待される。
※1 監視対象の範囲や内容、障害検知後の復旧動作の内容、障害対応レポートの送信タイミングなどを個別にモード選択できるようにしたほか、設定作業を簡単に行えるよう設定画面を刷新した。
※2 機能を制限した無償版(利用期間無制限)を利用して頂き、お客様の希望により機能が充実した有償版に移行できるサービス形態のこと。
4. 財務状況
2018年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比199百万円増加の5,049百万円となった。
主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が62百万円、仕掛品が66百万円それぞれ増加した。
一方、固定資産では有形固定資産が50百万円増加した。
負債合計は前期末比129百万円増加の3,902百万円となった。
有利子負債が116百万円、未払法人税等が76百万円減少した一方で、前受金が288百万円、買掛金が96百万円増加した。
また、純資産合計は70百万円増加の1,147百万円となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益79百万円を計上したことによる。
経営指標を見ると、自己資本比率が前期末の21.5%から22.0%と若干上昇し、有利子負債比率が82.6%から67.2%に低下するなど財務体質の改善が進んでいる。
有利子負債の削減が順調に進んでいることが要因だ。
とはいえ、自己資本比率の水準はまだ低く、今後、収益拡大によって自己資本をさらに引き上げていく方針となっている。
現状は、将来の成長を見据えた研究開発投資を積極的に行う投資フェーズのため、しばらくは緩やかな改善にとどまるものの、新製品・サービスが収益に本格貢献してくると、収益成長が加速化し、財務基盤の拡充も進むものと予想される。
なお、M&A戦略に関しては今後も前向きに検討していく方針に変わりない。
対象となるのは、同社が顧客基盤を持たない業界特化型のシステム開発企業や、シナジーが期待できる最先端テクノロジーのノウハウを持つ企業となる。
M&A資金は手元キャッシュや借入金で賄う方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)