8日の中国国内株式市場で主要株価指数の上海総合などが連休前の9月28日と比べて3.72%安となった。
中国人民銀行(中央銀行)は7日、一部の市中銀行の預金準備率を引き下げると発表した。
米中貿易戦の激化で中国経済の先行き不透明感が強まるなか、経済情勢の安定を図るための金融緩和措置だとみられる。
しかし、投資者の心理を改善することはできなかった。
人民銀は国内の大中小商業銀行、外資系銀行などの預金準備率を1%ポイント引き下げるとした。
10月15日から実施する。
準備率の引き下げは今年4回目。
今回の準備率引き下げで、総額1兆2000億元の流動性が放出される。
そのうちの4500億元が満期を迎える中期貸出ファシリティ(MLF)の返済資金に充てられる。
残り7500億元の流動性が金融市場に供給される。
年4回の準備率引き下げは異例だ。
中国当局は国内景気悪化への強い警戒感を浮き彫りにした。
ロイター(7日付)によると、一部の専門家は今年年末までに、さらに1%ポイントの追加引き下げが実施されると予想している。
いっぽう、中国当局の狙いとは逆に、今回の準備率引き下げで国内株市場では、中国経済に関する関する悲観的心理が一段と強まった。
7連休明けの8日、中国株の主要指数である上海総合、深セン成分指数、創業板指数は前営業日比で、平均で4%安となった。
中国メディアによると、8日の取引で約3200の銘柄が下落した。
今年に入ってから、上海総合は約17%下落した。
中国投資銀行大手、中国国際金融有限公司(CICC)は、10月1日から7日までの連休中、欧米株式市場の下落などの外部要因と、中国経済指標の低迷と中国当局の経済政策などの内的要因を総合的にみると、中国国内株市場への下押し圧力が続いていると分析した。
中国メディアの財新伝媒と英調査会社マークイットが9月30日発表した9月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.0だった。
景気悪化と景気改善の境目である50を割り込む手前となった。
8月の50.6から大幅に低下し、2017年5月以降の低水準となった。
同日、中国国家統計局が発表した9月の製造業PMIは、8月の51.3から0.5ポイント下がって、50.8となった。
7カ月ぶりの低水準。
民間と中国当局がそれぞれ公表したPMIの低迷の主因は米中貿易戦による新規輸出受注の落ち込みにあるとみられる。
中国ポータルサイト「捜狐網」(7日付)によれば、国内証券会社・平安証券の張明・チーフエコノミストは、今回の準備率引き下げは実体経済成長の鈍化に対応した措置だとの見方を示した。
張氏は、中国の7~9月期国内総生産(GDP)成長率は6.6%にとどまり、10~12月期のGDP成長率は6.4%までに鈍化するとの見通しを示した。
いっぽう、中国の緩和的な金融政策が原因で、人民元はドルに対して下落した。
7日の人民銀発表を受けて、8日のオフショア市場ではドル高元安が進み、元は対ドルで一時1ドル=6.93まで下落し、1年9ヶ月ぶりの安値を付けた。
中国国内のオンショア市場でも一時1ドル=6.92元台を割った。
人民銀が8日に公表した人民元の対ドル基準値は、前営業日比で0.0165元のドル高・元安の1ドル=6.8957元に設定された。
9日の元の対ドル基準値は、前日比0.0062元のドル高・元安の1ドル=6.9019元と設定。
米銀大手のJPモルガン・チェースは9月末に発表した調査で、18年末までに人民元は対ドルで1ドル=7.01元台、19年9月までには1ドル=7.19元の水準まで下落すると予測した。
米銀バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチも人民元の下落を推測した。
同社は2日、19年1~3月期に人民元が1ドル=7.05元台に、同年4~6月期の人民元は1ドル=7.10元台に落ち込むとの見通しを示したレポートを公にした。
米国の追加利上げ観測も元安圧力を強めている。
ロイターによれば、豪投資銀行マッコーリー銀行中国経済専門家の胡偉俊氏は、今後中国当局は元安による資本流出への規制をさらに強化するとした。
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】