高いボラティリティーが続いた過去数週間の後で、今週は注目しなければいけないことが数多くある。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は今年4回目の利上げを20日に発表すると考えられている。
中でも、重要なのは来年の利上げの見通しを示唆する発言である。
米中間の貿易摩擦を受けて米国の経済指標は鈍化しており、これがFRBによる2019年の利上げにどう影響するかが焦点だ。
今週には、米国内総生産(Q3)や、11月の住宅関連の経済指標が控えている。
一方、イングランド銀行(英中央銀行)と日本銀行は政策金利発表を予定しているが、なにか大きな変更があるとは期待されていない。
さらに、先週ではトランプ米大統領によって政府機関閉鎖の危機が浮上した後で、今週どのように進展するかが市場によって注目されている。
また、市場は米中間の貿易摩擦の解消に向けての動きにも注目している。
以下に、市場に影響を与える可能性が高い5つの経済指標をまとめた。
1. FRBによる政策金利
FRBは18日-19日に渡って米国公開市場委員会(FOMC)が行われ、今年3回目の利上げが予想されている。
フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は2.25-2.25%のレンジと考えられる。
ジェローム・パウエルFRB議長のFOMC声明の後の30分間のプレスコンファレンスで、今後の政策金利に関する発言に注目が集まる。
最近の貿易戦争や株式市場の続落に関して、同氏がどう評価するかがポイントだ。
また、FRBの「ドットプロット」から投資家は来年の利上げの見通しを得られることになるだろう。
FOMCメンバーは以前に2019年には3度の利上げを想定していたが、市場は米国経済低迷への懸念から来年の利上げの停止を予想している。
2.米国内総生産(GDP)
米国内総生産(GDP)が、金曜日22時30分(日本時間)に米商務省から発表される。
GDPの市場予想は対前年比3.5%で、速報値と変わらずである。対前期比で4.2%の成長である。
緩やかなインフレ、原油価格の急落、トランプ米大統領による減税効果の逓減などがGDPにどう出るかが注目である。
3.米国住宅着工件数
火曜日22時30分(日本時間)に米商務省は住宅着工件数と住宅建築許可件数を発表する予定である。
先月の住宅建築許可件数は0.5%上昇し127万件、住宅着工件数は0.3%上昇し123万件となることが予想されている。
最近の指標は、住宅ローン金利の上昇と厳しい住宅在庫数に苦戦する米国住宅市場の現状が現れている。
今週は米国個人所得・支出が発表され、米国PCEインフレデータも発表される予定である。
今週発表の耐久財受注も注目である。
4. イングランド銀行(英中央銀行)金融政策決定会合
イングランド銀行(英中央銀行)は政策金利を据え置き、段階的な利上げ計画を表明することが予想されている。金融政策決定は木曜日21時00分(日本時間)に行われる。
英中銀は2017年11月以来で2度の利上げを行っており、英国EU離脱を想定して、今後も段階的に行うことが予想されている。
投資家は英国EU離脱による経済への継続的な影響を見極めるために、英国小売売上高や物価指数に注目するだろう。
投資家は米国EU離脱交渉の進展に注目し、政治的な報道も焦点となっている。
テリーザ・メイ英首相は、保守党の反対勢力や、英国EU離脱まで4ヶ月を切っている中、未だ議会の承認を得られていない。
5.日本銀行政策金利
日本銀行は、19日-20日の日銀金融政策決定会合後に政策金利を発表する。
日銀は現在、短期金利のマイナス0.1% と、長期金利の目標を「ゼロ%程度」に維持することが必要としている。
黒田日銀総裁は会合後、プレスコンファレンスが予定されている。
第3四半期の日本のGDPのマイナス幅は4年ぶりの最低水準だった。この背景には相次ぐ自然災害が、製造業やインフラに影響を与えたためである。
アナリストは今期に経済成長は回復すると予想しているが、長引く貿易戦争や、需要の低迷が日本経済へのリスクだという。