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Jオイル Research Memo(1):高付加価値化とソリューションをバネに中期成長を目指す

発行済 2019-04-02 15:31
更新済 2019-04-02 15:41
© Reuters.  Jオイル Research Memo(1):高付加価値化とソリューションをバネに中期成長を目指す

■要約J-オイルミルズ (T:2613)は、(株)ホーネンコーポレーション、味の素製油(株)、吉原製油(株)の3社が統合して設立された油脂メーカー大手である。

大豆など輸入原料を国内で搾油し、国内で油脂・油糧製品を販売する油脂事業を主力としている。

ほかにマーガリンや粉末油脂などの油脂加工品事業、スターチや化成品などの食品・ファイン事業も展開している。

強みは、統合した3社がそれぞれに培ってきたノウハウと技術にあり、味の素製油は油脂のおいしさの研究や「AJINOMOTO」ブランドによる高い認知度に強みがあり、ホーネンコーポレーションは原料を使い切る取り組みや業務用における強固な営業基盤、吉原製油は油種のバラエティや顧客に対する課題解決力に強みがある。

こうした強みを相乗的に生かし、商品の高付加価値化や事業の効率化を進めている。

人口減少や少子高齢化、単身世帯の増加、女性の社会進出といった社会動態、食に対する価値観や意識の変化、調理方法・技術の進化などを背景に、食生活が変わりつつある。

このため、中食・外食産業、食品メーカーといった同社の顧客は、人手不足や消費多様化への対応、食品ロスを抑えることや廃棄処理にかかる人件費を削減することで経費を改善させるなど様々な課題を抱えるようになった。

同社は、同社の持つ強みを相乗的に発揮することで、顧客の課題を解消することが可能である。

こうしたソリューション事業は、同社にとってビジネスチャンスである。

そのためにも、商品の高付加価値化を積極的に進める必要があると考える。

中期的な基本方針は成長戦略と構造改革だが、同社は第五期中期経営計画(2017年度−2020年度)の力点を特に成長に置いているようだ。

人口減少などで数量の増加を期待しづらい国内では特に、油脂などの高付加価値化、業務用におけるソリューション事業の強化——が成長のための重点戦略となっている。

同社は、業務用として長持ち油「長調得徳®」やプロのための調味油「J-OILPRO®」シリーズといった調理場の課題を解消する商品を投入している。

家庭用には、需要が増しているオリーブオイルやプレミアムオイルなどを販売している。

このように高付加価値化とソリューションをバネに、「あぶら」を究めることでおいしさを創造する「おいしさデザイン企業」へ進化、2021年3月期には営業利益80億円以上(年平均成長率10%以上)、ROE5.0%以上を目指す。

日本の油脂事業において成長を続けるには、成長戦略の推進も構造改革の深掘りもカギとなる。

第五期中期経営計画の達成に向けて、同社は高付加価値品の売上拡大や構造改革を進めており、2019年3月期の業績見通しについて、売上高192,000百万円(前期比4.7%増)、営業利益5,500百万円(同37.3%増)を見込んでいる。

業績予想は期初のままだが、2019年3月期第3四半期の業績は想定以上の進捗となった。

これらの点を考慮すると、現状、第五期中期経営計画の進捗は順調と言ってよいと考える。

■Key Points・3社統合で設立された油脂メーカー大手・3社の強みを相乗的に発揮して高付加価値化を志向・2021年3月営業利益80億円以上、ROE5.0%以上目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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