■J-オイルミルズ (T:2613)の中期経営計画1. 「おいしさをデザインする」第五期中期経営計画3社統合前は赤字に陥ることもあったが、統合後に効率化を進めたことで各社の特徴が出やすくなり、営業利益の振幅は軽減されるようになった。
しかし、第四期中期経営計画(2014年度~2020年度)では、当初3年間は営業増益を達成して営業利益率も改善傾向となったものの、2016年度の営業利益は当初の目標にとどかなかった。
このため、改めて2017年スタートの第五期中期経営計画(~2020年度)を策定することになった。
当然成長性に力点を置いた計画となっており、数量の増加を期待しづらい国内においては高付加価値化、海外においてはアジアでの市場開拓が目標となっている。
2020年に目指す姿としては、加工度の低い単純な搾油事業から、「あぶら」を究めることでおいしさを創造する「おいしさデザイン企業」への進化である。
これにより、熱媒体用途に過ぎなかった「あぶら」の価値を、調理価値・健康価値・調味価値へと拡張し、さらに省力化や食資源など消費者ニーズや社会課題を解決できるより高い次元の価値へと昇華させる考えだと思われる。
成長戦略と構造改革を推進2. 基本方針少子高齢化など様々な社会的課題や個別の課題を背景に、高付加価値油の市場拡大が期待される一方、国内市場の縮小が予測されている。
このため同社の基本方針は、成長戦略と構造改革の2つが中心となっている。
成長戦略では、油脂及び油脂加工品と食品・ファインなど育成領域の高付加価値化、業務用におけるソリューション事業の強化、アジアでの海外展開加速、汎用油脂商品の収益力強化が戦略目標である。
構造改革では、バリューチェーンの効率化と高度化、生産拠点の最適化、選択と集中による効率化などが改革目標となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)