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いちご Research Memo(1):“サステナブルインフラ企業”として大きな成長を目指す

発行済 2019-06-03 15:21
更新済 2019-06-03 15:41
© Reuters.  いちご Research Memo(1):“サステナブルインフラ企業”として大きな成長を目指す

■要約いちご (T:2337)は、オフィス、ホテル、商業施設など幅広いタイプの不動産を対象とし、不動産価値向上ノウハウを駆使し、投資・運用を行う心築(しんちく)を強みとする。

2000年に不動産ファンド運営及び資産流動化事業をスタート。

2002年には大証ナスダック・ジャパン市場(現東証JASDAQ市場)に上場し事業拡大を加速。

リーマンショックを契機にいちごトラストが大株主となり、資産運用ビジネスをコアとした事業の選択と集中を行った。

その後、2008年に持株会社制に移行し、2011年にJ-REIT(現いちごオフィスリート投資法人 (T:8975))の資産運用会社を子会社化。

2015年11月にはいちごホテルリート投資法人 (T:3463)、2016年12月にはいちごグリーンインフラ投資法人 (T:9282)を上場させ、現存不動産に新しい価値を創造する心築(しんちく)事業とともに、アセットマネジメント事業においても発展させている。

2015年11月に東証1部に昇格、2016年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定され以後3年間その地位を維持しており、現在は200位以内を目指している。

2019年2月期を最終年度とする中期経営計画「Power Up 2019」では、計画する全経営指標(KPI)において計画を達成し、営業利益は3年間で60.4%成長となった。

なお、2019年4月に発表された長期VISION「いちご2030」では、不動産をインフラと捉え、人々の豊かな暮らしや経済活動の支援を目的として、心築とITの融合を図り、「ハード・インフラ」と「ソフト・インフラ」のさらなる融合により、“サステナブルインフラ企業”として大きく成長する構想を表明している。

1. 事業概要事業セグメントはアセットマネジメント事業、心築事業、クリーンエネルギー事業の3つである。

アセットマネジメント事業は、3つの上場投資法人(いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーン)に対して、投資対象資産の発掘及び供給、運営・マネジメントなどを行う。

資産の入替等を含めた資産規模の拡大や賃料収入の増加、適正なコストコントロール等により、同社の運用フィーも成長している。

心築事業は同社事業の柱であり、不動産価値向上ノウハウは同社のコアコンピタンスである。

保有不動産の賃貸収益(ストック)と譲渡収益(フロー)がバランスよく成長しているのが同社の特徴。

賃貸収益(ストック)は自己保有資産219,427百万円(2019年2月末)から生み出され、2019年2月期の粗利ベース収益は12,867百万円(前期比1,795百万円増)だった。

一方の譲渡収益(フロー)は2019年2月期に順調に伸び、粗利ベース収益で14,893百万円(前期比2,796百万円増)となった。

クリーンエネルギー事業は、太陽光発電所40ヶ所、113.06MW(うち、いちごグリーンインフラは15発電所、29.43MW)が売電を開始している。

2019年2月期は、関東最大級のいちご昭和村生越ECO発電所(いちごECOエナジー(株)、43.34MW、売電開始済出力の51.8%)が年フル稼働し、売電収入が大きく伸びた。

2. 業績動向2019年2月期通期は、売上高が前期比44.4%増の83,540百万円、営業利益が同19.9%増の26,279百万円、経常利益が同20.3%増の23,076百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.7%増の15,373百万円と大幅な増収増益となった。

増益に大きく貢献したのは主力の心築事業である。

内訳としては、不動産譲渡損益が14,893百万円(前期比23.1%増、2,796百万円増)、不動産賃貸損益が12,867百万円(同16.2%増、1,795百万円増)とともに好調であり、ストックとフローの両面でバランス良く稼げている。

アセットマネジメント事業では、ストック収益であるベース運用フィーが増加し堅調に推移。

クリーンエネルギー事業は、関東最大級のいちご昭和村生越ECO発電所を始めとする新規竣工した発電所の稼働により売電収益(ストック収益)が増加した。

全般的にストック収益をしっかり確保し、過去最高益(2017年2月期)を更新した。

また、2019年2月期を最終年度とする中期経営計画「Power Up 2019」では、計画する全経営指標(KPI)において計画を達成し、3年間で営業利益は+60.4%成長、経常利益は+66.1%成長、親会社株主に帰属する当期純利益は+18.9%成長となった。

なお、営業利益や経常利益の成長率が純利益の成長率を大きく上回る要因は、同社の繰越欠損金が解消したことにより、2016年2月期に6.9%であった法人税負担率が、2019年2月期には31.8%に上昇したことによる。

2020年2月期通期の業績予想(連結)は、営業利益で前期比0.8%増の26,500百万円、経常利益で同1.2%減の22,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の15,000百万円と過去最高の業績だった前期と同水準を維持する見込みだ。

収益力は向上しているが、成長への先行投資を並行して行うため、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、1株当たり当期純利益に関しては微減予想となった。

主力の心築事業の利益貢献が大きく、23,312百万円(前期比2.8%増)を見込む。

保有する不動産の期末時点の含み益(鑑定ベース)は50,916百万円(前期比5,477百万円増)だが、過去の実績では、売却時に含み益の2.5倍(2019年2月期実績)の売却益を実現してきたことからも潜在的な収益力は大きい。

いちごオーナーズ(株)による回転率の高い売買も拡大しており、心築事業には好材料が多い。

アセットマネジメント事業、クリーンエネルギー事業も含め、全体的に保守的な予想であり、順調に推移すれば上振れも期待できる。

3. 成長戦略同社は、2019年4月に、“サステナブルインフラ企業”として大きな成長を目指す長期VISION「いちご2030」を発表した。

同社はこれまでも主に心築事業を通じて社会・生活インフラ(主にハード面)に関わってきた。

今後は、主役である人や企業の多様なニーズを的確に捉え、その行動を快適にする支援(主にソフト面)をITなども駆使しながら行う。

不動産を保有する強みを活かし、「ハード・インフラ」と「ソフト・インフラ」のさらなる融合を図り、顧客ニーズを発掘して、それらにオンリーワンとして的確に対応することで、事業を拡大・発展する構想である。

長期VISIONにおける経営目標としては、資本生産性、キャッシュ創出力、安定収益の3つの視点で指標と目標値が示されている。

利益額などの明確な表明はないが、ROEひとつとっても、平均15%を継続した場合の資産規模(純資産)の拡大を想像するだけでも、大きな成長を見込んでいることがわかる。

2019年2月期末時点ではストックとフローのバランスは5:5だが、今後はストック比率を増やす方向にシフトする方針だ(ストック収益比率60%へ)。

4. 株主還元策同社は「累進的配当政策」を導入しており、原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針としている。

2019年2月期の1株当たり配当金は年間7円(前期比1円増配)と7期連続の増配を達成した。

配当性向は22.5%、株主資本配当率(DOE)は3.7%だった。

2018年の10月〜12月に総額約30億円分の自社株を取得しており、これを勘案した総還元性向では41.8%に達する。

■Key Points・主力の心築事業では不動産価値向上ノウハウが強み。

ストック収益とフロー収益がバランス良く成長・2019年2月期はストック収益をしっかり確保し、過去最高益を更新・“サステナブルインフラ企業”として大きな成長を目指す長期VISION「いちご2030」を発表。

Jリーグトップパートナーに就任・増配か配当維持を原則とする累進的配当政策を採用し7年連続の増配を達成。

2020年2月期は7円、配当性向23%を予想(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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