先週末の米国株式市場は、米非農業部門雇用者数が大きく減少したことを受けて、FRBの利下げが早まるとの思惑から主要3指数揃って大きく上昇した。雇用統計前に発表されていたADP非農業部門雇用者数が大きく減少していたため、事前予想でも懸念されていたが、平均時給とともに予想を下回る結果となった。ただし失業率は前月から変化はなかった。
FOMCは来週開催され、6/20午前3時に政策金利の発表となるが、さすがに6月での利下げはないだろう。FRBは今後の政策余地を考えて利下げはできる限りしたくないはずであり、ブレの大きい非農業部門雇用者数の1度の減少だけで利下げを決断するはずがないからだ。米国政策金利モニターツールによると、年内の利下げに関して80%強が0.5%、5割強が0.75%の利下げを予想している。ちなみに8月のFOMCでは9割弱が0.25%の利下げがあると考えている。
この利下げ期待で米国10年債利回りは雇用統計直後に2.060%まで急落したが、本日午前11時20分時点では2.117%まで上昇している。ドル/円もこの長期金利の影響を受け、一時108円割れしていたが、108.50円となっている。
先週末には対メキシコ関税を実施しないことがトランプ大統領より発表されている。メキシコに関してはもともと米議会の反対が極めて強かったため、トランプ大統領がどこまで強硬でいられるかは疑問であったが、ある程度予想できる決着だったといえるだろう。問題は対中国であり、こちらは簡単ではない。G20での首脳会議までに閣僚級協議も予定されておらず、合意への道筋は不透明なままだ。G20まではこの貿易戦争のニュースで株価は上下に揺れるだろう。
本日発表の経済指標では、今朝日本の1-3期GDP改定値が発表され、年率2.2%に上方修正された。また、中国貿易収支は416.6億ドルとなり、輸出も1.1%増と4月から大きく回復している。上海総合株価指数は0.66%高で推移している。
午前11時54分時点での日経平均は1.10%高の2万1113円と大きく上昇している。先週の6/4の安値からは800円強の上昇だ。円高に阻まれて米国市場に比べると物足りないが、本日は25日線に上値を抑えられている形だ。後場の日経平均は引き続き25日線に抑えられる可能性が高い。米国市場も日本市場も価格の調整をしてもおかしくはない値幅となってきているので、これも考慮しておくべきだろう。