トランプ米大統領が主張するように米国・メキシコ間の不法移民や貿易に関する協議が合意に至ったのか、あるいは報道されているようにトランプ氏による追加関税通告前に水面下ですでに合意がなされていたのか、真相は定かではないが対メキシコ関税への懸念は後退した。
今週は重要な米経済指標の発表は少ないものの、利下げ観測の重要な材料になるだろう。
6月のFOMCでは利下げに向け地盤を固めると見られる。7月のFOMCで利下げが行われる可能性は80%を織り込んでいる。
今週決算報告を行う企業もまだ残っている。
また、トランプ米大統領がツイッターへの投稿などで突拍子もない発言に市場が左右される可能性もある。
一方で原油市場は地政学的影響を受けやすい中、協調減産延長が決定されるかが焦点である。
本日の米国市場で注目の3ポイントは以下の通りだ。
1. 5月米生産者物価指数(PPI)
11日午後9時30分、5月米生産者物価指数(PPI)が発表される。
5月米PPI(前月比)は0.1%上昇、食品とエネルギーを除いたコアPPI(前月比)は0.2%上昇する見通し。
年間成長率はPPIで2%、コアPPIで2.3%の見通し。
PPIは、国内生産者が出荷した時点での商品やサービスの価格を測定する重要指標である。
2. 米原油在庫
先週発表されたAPI週間原油在庫は354万5000バレルの積み増しとなった。この発表後、原油価格は下落した。
10日、米WTI原油先物は53.26ドルに下げた。米中貿易戦争で原油需要が縮小することを見込み、OPECプラスが減産を継続するとの市場予想が背景にある。
JBCエナジーのストラテジストは、原油安は今週徐々に回復すると指摘。材料としてトランプ米大統領が対メキシコ追加関税を無期限延期したこと、サウジがOPECの減産継続を示唆したこと、そして先週の発表で米石油掘削リグ稼働数が減少したことを挙げた。
3. テスラ決算報告
テスラ(NASDAQ:TSLA)株は今年35%下落しており、上半期から厳しい戦いを強いられている。
しかし今月では15%上昇しており、株主総会ではマスクCEOが好材料を発表することが予想されている。
テスラの年次株主総会は12日午前6時30分からカリフォルニア州マウンテンビューで開催される。
総会に先立ち、出荷台数が回復するだろうと見込む株主らの楽観的なムードは高まっている。背景には9万台以上を出荷した2018年10-12月期に迫る出荷台数を4-6月期に記録する可能性があるとしたマスク氏のメールが流出したことがある。
BairdのBen Kalloアナリストは「テスラは出荷台数ガイダンスをクリアしてくる可能性がある。もし目標値が達成されれば同株は上げ相場になるだろう。需要縮小の懸念は乗り越えたはずだ。現段階ではテスラは買い銘柄と言える」と記した。