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サンコーテクノ Research Memo(5):実態面では“安定成長に向けた基盤・体制の構築”が着実に進捗

発行済 2019-07-04 15:15
更新済 2019-07-04 15:21
© Reuters.  サンコーテクノ Research Memo(5):実態面では“安定成長に向けた基盤・体制の構築”が着実に進捗

■中期経営計画と成長戦略の進捗状況1. 中期経営ビジョン「S.T.G VISION 2020」の概要(1) 中期ビジョンの概要サンコーテクノ (T:3435)は2016年3月期−2021年3月期の中期経営ビジョン『S.T.G VISION 2020』に取り組んでいる。

業績面での中期目標としては、“売上高年平均成長率5%、営業利益率8%”の達成を掲げている。

2015年3月期実績の売上高17,835百万円、営業利益1,511百万円(営業利益率8.5%)起点として、計画どおりの売上成長率・営業利益率が達成されれば、2021年3月期には売上高23,900百万円、営業利益1,912百万円(営業利益率8.0%)となる。

2019年3月期までの進捗状況からは、これらの実現はかなりハードルが高いという印象は否めない状況だ。

同社が『S.T.G VISION 2020』で追求するのは「外部環境に左右されず、安定成長を実現する基盤・体制の構築」という実質的・実態的な部分であり、業績数値はその結果でしかない。

この点、同社は着々と安定成長実現のための施策を打ち出し、着実に実現してきた。

これまでの同社の歩みを振り返ると、2つの段階に分かれていることに気づく。

第1段階は、建築に頼った1本足の収益構造からの脱却であり、土木分野への進出だ。

建築と土木の両輪を包含する“建設”での成長を目指した。

この施策は主としてファスニング事業の収益体質強化を図る取り組みと言える。

これは2019年3月期までに一定の成果を達成しており、今後も継続して建築と土木の両輪で成長を目指すことになる。

第2段階は、今現在の同社が直面していることであるが、“建設からの脱却”すなわち収益における建設依存度の低下だ。

足元は復興需要や東京オリンピック関連で建設分野全体にフォローの風が吹いている。

しかしこれもいずれは止む時がくる。

その時に第2のエンジンとして成長を支える存在と期待するのが機能材事業であり、ここの強化が急務となっている。

浦和電研(2019年2月)と成光産業(2019年4月)の子会社化は、この流れのなかで起こった、必然の投資判断と言うことができるだろう。

今後のポイントを一言で言うならば“連携強化”だ。

ファスニング事業内部での国内外の連携、ファスニング事業と機能材事業との連携、そして機能材事業内部での連携など、様々な角度での連携が考えられる。

それだけチャンスが多いとも言える。

特に注目なのは機能材事業の中での連携だ。

機能材事業の中身は、一見するとばらばらな事業の寄せ集めにも思える。

これらをどのように有機的に結び付けてシナジーを追求していくか大いに注目される。

この点について、同社の中ではシナジー追求のロードマップができているもようだ。

機能材事業というセグメントは、新規事業、多角化事業の受け皿という性格も有している。

沿革の項で述べたように、同社は事業の多角化についてはもともと積極的だ。

今回の2件のM&Aにとどまらず、今後も新規事業が追加されてくる可能性は大いにあると弊社ではみている。

2020年3月期と2021年3月期は6ヶ年計画の『S.T.G VISION 2020』の最後の2年に当たるため、収穫期という位置付けになると弊社では想定していたが、今般子会社化した2社の事業を同社の既存事業としっかり融合させてシナジーを狙える体制を作ることこそが『S.T.G VISION 2020』の本来の目的であり、最後の2年間もそうした基盤・体制作りの時期となる見通しだ。

しかしそれは、中長期的には投資家リターンの最大化に寄与するものと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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